英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

Austerity vs stimulus

 今日は休日。すっかり夏の空だ。だが、海外は休日ではないので、英字紙は平日並みの情報量。
 
 FT電子版の題字上に興味深いタイトルを見つけた。「Austerity vs stimulus」。緊縮財政対財政刺激策、とでも訳すのだろうか。
 http://www.ft.com/cms/s/0/dc3ac844-9010-11df-91b6-00144feab49a.html
 マーチン・ウルフやラリー・サマーズ、トリシェ総裁らが論争を繰り広げるそうだ。FTならではの豪華な企画。ウルフ氏は「引き締めるべきか、それとも引き締めざるべきか、それが問題だ」と、シェイクスピアばりに、記事を書き起こす。
 http://www.ft.com/cms/s/0/f3eb2596-9296-11df-9142-00144feab49a.html
 09年のピッツバーグサミットと今年のトロントサミットの声明文を比較すると、財政緊縮策と財政刺激策のバランスへの言及度合いが変化している。
 反財政赤字派は、財政赤字には効果がないと考えている。民間セクターの活動は結局、財政支出とオフセットされてしまうからだ。つまり、財政が赤字になれば、民間部門は貯蓄に走る。財政赤字が将来増税につながると予想するからだ。また、これほどの財政赤字は、長期の財政への信頼を脅かし、民間セクターの消費活動を抑制してしまうと考える。財政緊縮策の後は、金融緩和が効果的だという。金融緩和は投資を刺激し、為替を弱くすることで輸出を促進する。
 一方、財政刺激派(財政削減延期派、postponers)は、経済回復の脆弱さと、民間部門の巨大な超過貯蓄を強調する。民間部門がつつましやかだからこそ、財政赤字が生じる。金融政策も、政策金利がゼロに近づいており、効果がないとする。1990年代の日本のように、財政緊縮策はむしろ、急速な経済後退を引き起こす。
 巨額の公的債務とデフレの組み合わせは、経済の下方スパイラルを引き起こす。日本の失われた10年がいま先進国を脅かしている。先進国が一斉に財政緊縮策に走るのでなく、いま必要なのは、財政拡大だ。
 
 お次は円高についての話題。
 http://www.ft.com/cms/s/0/65b0dc9a-9295-11df-9142-00144feab49a.html
 今年最高値となった円ドルレート(1ドル86.36円)が、今週、政府当局による為替介入の可能性を呼び起こしている。
 もし介入が行われれば、2004年4月以来になる。理由の一つが米経済の回復の弱さ。米国債は記録的な低金利水準になり、FEDによる追加量的緩和の観測が出ている。昨年12月につけた84.8円を抜く可能性も出てきた。過去最高値は1995年の79.7円。85円を超えると、政府介入の可能性があるという。これは円が強いというより、ドルが弱い。
 
 これはハンガリー関連の記事。
 http://blogs.ft.com/beyond-brics/2010/07/18/hungary-versus-the-imf-watch-out-for-immediate-fallout/
 ハンガリー政府とIMF,EU代表による土曜日の交渉は不調に終わった。250億ドルのローンプログラムによる、定期的な財政レビューで、ハンガリー政府に提案の再考を求めたが、不調に終わったようだ。ハンガリー政府はこのローンをただちに必要としていないが、交渉の不調はハンガリーをマーケットの混乱に陥れてしまう。ひいては、ユーロ圏に波及する恐れがある。