英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

トランプと台湾

 トランプ氏が台湾の蔡総統と電話会談したことが、中国をいたく刺激している。米国にとっても、数十年にわたる外交政策を大きく変更することになる。やはりトランプ氏は異色の大統領になりそうである。
 中国政府は公式に米国に対して苦情を申し立て、一方の台湾は中国に対して冷静になるよう呼びかけている。トランプ氏が台湾トップと電話会談したことは、外交上の儀礼を破ったことになるという。
 蔡氏とトランプ氏の電話会談はおよそ10分間。1979年に米国政府が中国当局と外交関係を結んで以来、米国大統領や大統領就任予定者が台湾首脳と会談するのは初めてのことだ。二人は経済と安全保障上の連携について話し合い、お互いの選挙戦での勝利を祝福したという。
 蔡氏率いる党は中国からの独立を支持している。蔡氏が総統に選ばれて以降、中国・北京政府は繰り返し、彼女の前任者たちと合意した政治的約束にコミットし続けるよう促してきた。蔡氏は現状を維持すると述べているが、北京政府が求める条件をあからさまに支持することは拒否している。
 蔡氏と心を通わせることで、中国再統一に台湾は抵抗するようワシントンが奨励するのではないかという北京側の疑念をトランプチームは強めている。そういう懸念は過去数十年は抑制されていた。
 台湾問題はオバマ大統領と習主席の9月の会談において、最初のトピックスだった。
 http://www.wsj.com/articles/trumps-phone-call-with-taiwan-president-sparks-china-complaint-1480762723
 ニューヨークタイムズより、同じ話題。中国との不仲を引き起こしうる外交上の行動であると論評している。
 http://www.nytimes.com/2016/12/02/us/politics/trump-speaks-with-taiwans-leader-a-possible-affront-to-china.html?hp&action=click&pgtype=Homepage&clickSource=story-heading&module=a-lede-package-region®ion=top-news&WT.nav=top-news&_r=0
 クルーグマン教授。トランプ氏の裏切りが早速始まったと述べている。変化を続ける経済や社会から取り残されたと感じている、労働者階級の白人有権者の圧倒的支持を受け、トランプ氏は当選した。しかし、閣僚ポストの顔ぶれをみると、こうした支持者たちは早速トランプ氏に裏切られ始めている。
 閣僚候補のうち、今週もっとも重要だったのは、健康や人的サービス担当長官に任命されたトム・プライス氏の人事だ。彼はオバマケアの反対者である。これによって、オバマケアは死の運命にある。そして、もっともトランプ氏を熱狂的に支持した人たちが負け組となる運命だ。
 http://www.nytimes.com/2016/12/02/opinion/seduced-and-betrayed-by-donald-trump.html?partner=rss&emc=rss&_r=0