英字紙ウォッチング

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巨大企業の弊害

 エコノミスト最新号のトップストーリーは、巨大企業の弊害。巨大企業の登場が競争を歪め、ビジネスの正統性そのものを脅かしているという。
 スーパースターの会社がグローバル経済の中核に鎮座している。そのうちのいくつかの企業は、GEのような古くて、自ら再投資している会社である。いくつかの会社は、新興市場のチャンピオン、それはサムスンのような会社である。彼らはグローバリゼーションによって成長のチャンスをつかまえた。エリートの中のエリート企業は、Googleやアップル、フェイスブックのような会社である。
 今週のわれわれの特別レポートが明らかにするように、こうしたスーパースター企業は多くの点で賞賛に値する。彼らは消費者の生活を向上させるような製品を次から次への送り出している。彼らは2800億ドルに相当する無料のサービスを提供している。しかし、彼らには2つの大きな欠陥がある。
 一つは、競争をダメにしていること。そして、好ましくない経営技術を利用していることだ。これらの両方とも解決は難しい。しかし、これを改善しないと、すべての人に悪影響を与える恐れがある。
 企業の図体を大きくすることはグローバルトレンドだ。m&aの数は1990年代のすでに2倍以上に膨らんでいる。しかし、集中はアメリカにおいてもっとも懸念すべき事象となっている。大手100社が生み出すGDPのシェアは、33%から46%まで膨らんだ。米国ではスタートアップ企業の数も減っている。
 より多くの企業は、生まれるよりも死滅している。創業者の夢は、自らが巨人になることよりも、巨人に自らを売ることになっている。
 レッセフェールへの信仰はある。しかし、市場に任せておけば、集中の問題は解決するというのは今日においては疑わしい。
 低成長の時代に入り、企業はライバル企業を買収し、コストを下げることに励むようになっている。巨大企業の重要性は、生産的な活動に対してより優位でなくなっていることに反映されている。
 対外投資の3割りは、タックスヘイブン経由になっている。巨大企業はロビイストの大軍団を展開し、ブリュッセルにそれを応用している。今や3万人のロビイストブリュッセルの廊下を練り歩き、ワシントンを完全に征服した。
 税金を支払うことは個人にとっては不可避な事象だが、巨大企業にとってはそうでないらしい。規則というものは、市民にとって修正不可能のように見えるが、巨大企業にとっては、交渉によってなんとかなる代物である。また、利益を上げているということは、多くの人を雇うことにつながらない。
 かつて1990年代にデトロイトのビッグ3は120万人もの従業員を雇っていた。しかし、いまシリコンバレーのビッグ3はわずか13万人の従業員しかいない。
 こうしたことすべてに対する怒りは理解できるものだ。しかし、企業を激しく非難し、人々の状態を改善するには不十分である。親企業政策への幻想、とくに自由な移民政策は、ブレグジットやトランプ氏への支持にみられるように、困った選択の浮上を助けている。保護主義自国民中心主義は、生活水準を低下させるだけだ。大企業の横暴を食い止めるには、演説ではなく、外科手術が必要だ。
 たとえば、節税問題にどう対処するか。
 企業の集中はより難しい問題だ。米国はとくに、巨大企業の疑わしい利益を許容してきた。デジタル時代における反トラスト政策は再構築する必要がある。
 http://www.economist.com/news/leaders/21707210-rise-corporate-colossus-threatens-both-competition-and-legitimacy-business