英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

ブレグジットとトランプ

 晴れ。
 ブレグジットに関する続報である。長い記事であり、ブレグジット派の心情に沿って書かれた記事である。
 ブレグジットには経済的にメリットはない、といくら訴えても、ブレグジット派の支持が多かった理由をうまく説明している。
 投票は自由を求める叫びの一つであり、エスタブリッシュメント層に対する批判でもある。
 世界の人々は英国人に対してこう問いかけている。「いったい全体、何が起きたの?」。普通選挙権の歴史の中で、これほどの僅差で大きく頬っぺたをひっぱたかれるのは初めてのことだろう。
 キャメロン首相は、国が新たな方向に動き出すことを理由に辞任を表明した。全員がキャメロン首相と同じような行動をとるなら、下院議員はほとんどいなくなってしまうだろう。ブレグジットは閣僚の中でのほとんど4分の1の支持しか得られていない。労働党の政治家に限って言うと、10分の1の支持率だ。これはまさに英国革命だと言える。
 ちょうど金曜日に自分のゴルフコースを訪れるためにドナルド・トランプ氏がスコットランドに到着したが、これはブレグジット支持者が望まないメタファーである。彼が自国でやっているのと同じやり方で英国民も自国を支持した、と賛辞を贈ったのだ。
 しかし、トランプ氏が行っているのは、保護主義的なネイティブ主義なのに対し、ブレグジットで英国民が求めたのは自由と自由貿易である。この点、トランプ氏とブレグジットはまったく異なる。
 自由を求めるキャンペーンの主導者は法務大臣のゴーブ氏である。ゴーブ氏はEU加盟国の問題を実際的な事例を挙げて説明してきた。ゴーブ氏は今回のブレグジット投票は、1776年に大西洋の反対側で起きたことと同じことだと述べた。米国ではなく、「英国独立革命」というわけだ。
 EUは今回、ギャンブルに打ってでた。英国人はEUを脅しているのであり、けっして離脱を支持しないだろう、と。
 一方、多くの英国人有権者は安全保障問題でもEUに対するフラストレーションをため込んできた。EU首脳たちは権力を求める一方、それをうまく使いこなせないできたからだ。たとえば、1991年にユーゴスラビアで戦争が起きたとき、ECC議長は欧州の時間であり、アメリカの時間ではない、と述べたが、欧州自身の手で問題を解決できなかった。
 最近ではウクライナリビアの問題でも同様のことを繰り返している。英国軍のトップを務めた人物は先週、婉曲な言い回しでこの点を指摘している。物事が本当に深刻になると、我々が必要としているのはEUではなく、米国である。これは権力がどこに所在するのかを示している。
 キャンペーン期間を通じて、ブレグジット陣営は、物事の見方が内向きであり、ノスタルジックであり、大英帝国の古き良き時代を夢見ているのだと批判されてきた。現代の国家は同盟国を必要としているのだ、と。しかし、ブレグジット支持者こそ、この点をより厳しく考え抜いてきた。EUの機能不全の持つ意味と、NATOの存在についてだ。
 今後の数か月、おそらく大変な荒波が待ち受けているだろうが、問われるべき問いは、欧州と協業するのかどうかではなく、いかに欧州と協業するかである。
 移民問題でさえ、国際主義者的な風合いを帯びている。キャメロン首相の目標は移民の数をネットで年10万人以下にすることだった。現在英国政府は、年間サラリーで少なくとも3万5000ポンド以上稼ぐ非EU国の労働者を必要としている。それゆえ、米国人の若きフルート奏者を送還し、英国と家族のつながりのあるブルガリア人の前科者を拒むことができないとたとえている。
 こういう論点を先週のテレビ討論で持ち出されて、キャメロン首相はうまく答えることができなかった。
 http://www.wsj.com/articles/brexit-a-very-british-revolution-1466800383
 スコットランドを訪れたトランプ氏。ブレグジットのニュースに関するオバマ氏のコメントを早速やり玉にあげている。
 今回の視察は、彼が大統領候補に選ばれて初めての外遊となる。
 http://www.wsj.com/articles/trump-mixes-politics-business-on-visit-to-scotland-1466869051
 「欧州は死んだ」。シュピーゲル誌より。
 ゴーブ法務大臣のエピソードから始めている。EUは雇用を破壊し、失業を創出する悲劇であると述べている。彼の戦略的な技術がブレグジットが勝利した理由の一つである。
 一方、スコットランドとロンドン、北部アイルランドは残留をはっきりと選んだ。
 http://www.spiegel.de/international/europe/black-thursday-for-uk-and-europe-as-britain-votes-to-leave-eu-a-1099726.html
 エコノミストより。
 http://www.economist.com/node/21698610