英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

世紀の漏洩

 春特有の薄曇。
 投資銀行がミレニアル世代に対し、新たな職務モデルを検討している。ミレニアル世代の退職が相次いでいるからだ。
 冒頭示されるのは、ゴールドマンサックスの投資銀行部門の共同トップが、ホテルに若手社員を集めた会合で話しかけるシーン。「われわれは変化しようとしている」と述べ、ゴールドマンを退職するのは賢い行動ではない、と述べている。
 何十年にもわたり、ウォールストリートの企業には単純な成功の公式があった。マラソンを走るように休みなしに働き、その代わりに大きな取引と何百万ドルもの報酬を手にすることができる。しかし、その公式はいまどきの若手バンカーには何の魅力もないことがはっきりしてきた。
 http://www.wsj.com/articles/millennial-employees-confound-big-banks-1460126369
 パナマ文書関連。3年前、タックスヘイブンに関するレポートが出た際、モサク・フォンセカの顧客の何人かは、秘密はきちんと守られているか問い合わせた。法律事務所はそのときこう言った。データセンターは技術の粋を集めたもので、アルゴリズムは世界クラスだ、と述べた。しかし、皮肉なことに、その世界一の秘密が漏れ出した。
 過去40年にわたる1150万件もの文書である。このパナマ文書は140人もの政治家や政府高官のオフショアにおける資産保有状況を暴き出した。140人の中には現職あるいは前職の大統領や独裁者、首相といった最高権力者が12人ほど含まれている。
 さらに、この文書はいかにお金が動かされ、米国政府によってならず者国家と認定された国やテロリストたち33の企業や個人も暴き出した。
 ジャーナリストたちの連合、ICIJによると、ロシアのプーチン大統領は20億ドルをオフショアの銀行や企業を使い、洗浄していたという。
 フォンセカは悪いことはしていないと主張している。もちろん、こうしたオフショア企業や銀行口座を利用する正当な理由も多く存在するのだろう。しかし同時にオフショアの企業は税を逃れ、違法な富を隠すことに使われることも確かである。
 ICIJのデータが示しているのは、いかにある政治家の親族や関係者が豊かになっていくのか、という事実である。
 たとえば、アゼルバイジャンの大統領の娘たちはひそかに金鉱をコントロールしていた。南アフリカの大統領のおいは、コンゴ共和国で石油契約をうまくだまして結んでいた。コンゴに対し、南アフリカは1000人の平和維持軍を送り込んでいる。多くの南アフリカ市民は激怒している。ズマ大統領は今週弾劾手続きに臨むことになっている。
 アイスランドでは激怒した抗議活動が首相を辞任に追い込んだ。
 こうした汚職が世界の人々をより貧しく、不平等にしている。政治家が盗みを働くと、道路や学校に使われるべき公衆のお金は減少してしまう。
 ただ、タックスヘイブンをなくせば汚職がなくなるわけではない。
 http://www.economist.com/news/leaders/21696532-more-should-be-done-make-offshore-tax-havens-less-murky-lesson-panama-papers