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金利政策とバランスシート政策〜フィッシャー講演

 3月のFOMCを3週間後に控え、フィッシャー副議長が講演を行った。タイトルは「近年の金融政策の発展について」。
 ダニエル・ヤーギン氏の主宰するカンファレンスに呼ばれてスピーチを行ったようだ。
 まず、最近の金融政策に関する決定の背景にあることについて説明している。7年前に、FFレートの幅を0から0・25パーセントに低く抑え続けて以来、昨年12月に初めて0・25パーセント、レンジを引き上げた。
 この決定の背後には、労働市場が改善していること、2パーセントのインフレ目標に中期的に近づきつつあること、の2つがある。昨年の新規雇用者数は月間平均で23万人だった。
 物価は当面下がる見通しだが、もし、原油価格や輸入物価の下げが止まると、こうした条件が消えてしまう。これが利上げに踏み切った理由である。
 ただ、利上げを行ったとしても、われわれの金融政策は依然として緩和的である。
 金融危機以降、Fedはバランスシートを拡大させてきた。2008年半ばに1兆ドルに満たなかったそれは、14年後半には4・5兆ドルにまで拡大した。
 利上げに踏み切るということは、Fedが支払う準備預金の利払いが増価することを意味している。
 今年に入り、消費関連指標は上向いているという。さらに、時間給もここ数ヶ月平均を上回っている。
 リスクとして留保条件もつけている。一つは、原油価格のさらなる下落。もう一つは、金融市場のボラティリティだ。
 VIXインデックスは1月に急上昇した。ただ、まだ判断するには早いという。
 最後に2つの論点をあげている。一つは、完全雇用の水準は5パーセントに近いという点。FOMCメンバーは実際の失業率は4・7パーセントまで低下するとみている。そして、フィッシャー副議長自身、4・7パーセントまで下がる可能性があるという。それはスラックの存在だ。
 2つめの論点は金利政策とバランスシート政策の統合である。
 http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/fischer20160223a.htm