英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

ある最高裁判事の死

 生暖かく、風の強い、変な天気。
 WSJ電子版のトップ記事は、米国最高裁で30年にわたって判事を務めたスカリア氏が79歳で死亡したとの記事である。保守派の判事として判決を書いてきたことで知られ、レーガン政権時代から務めていた。
 ハンティングの最中に亡くなるとか、アジア歴訪を共著者の大学教授を行うとか、香港やシンガポールで講演するとか、という判事の生前の活動を知ると、我が国の最高裁判事との差を思い知らされる。
 スカリア判事が死亡したことで、上院において後継判事の指名をめぐる駆け引きが予想される。オバマ政権時代、力の強い共和党の抵抗に遭い、判事候補の指名が円滑に進まなかった。
 今年が大統領選挙の年であることも、オバマ政権の指名能力を複雑化させることになる。早速、クルーズ候補がツイッターのメッセージにおいて、上院に対し、次の大統領が選出されるまで後継指名を待つように求めている。
 スカリア判事の死は、大統領選挙における新しい論点を提供することにもなった。最高裁の判事の構成をどのようにすべきなのか、という緊急性のあるテーマだ。すでに共和党候補の多くが、75歳以上の判事4名に関して、新大統領が数年かけて思想的なバランスをとるように求めている。
 一方の民主党は今年中にも後任を選ぶべきだ、という主張だ。党派的な理由で米国の民主主義にとって重要な最高裁が人員不足に陥ってはならない、という理由からだ。
 スカリア判事は、保守派の共和党員にとっては、偶像のような存在だった。とくに、即座に反応したのが、クルーズ候補。最近、ロバート最高裁長官のもとでの決定に批判的だっただけに、スカリア判事の死は大きな打撃となったようだ。
 http://www.wsj.com/articles/supreme-court-justice-antonin-scalia-dead-at-79-1455404229