英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

政策リスクによる株安

 ロシアのメドヴェージェフ首相が「われわれは新たな冷戦時代に突入しつつある」と述べた。もし、シリアにおいてロシアと西側諸国が協調することができないなら、重大な結果を招くだろうと警告した。
 ドイツにおけるカンファレンスにおいてスピーチした。軍事関係者はすぐに協議すべきだと述べ、1日に10回はお互い話し合うべきだと述べた。
 ロシアはアサド政権側に立って軍事介入を続けている。木曜日にミュンヘンで行われたシリアの停戦協議は、米国とロシアを共同議長とするワーキンググループを創設することで合意した。
 西側諸国は2つの厳しい選択を迫られている。一つは、ロシアと協調し、テロとの戦い、中東の安定などに共通の利益を見出す。もう一つは、永遠のグローバルな戦いを続けるか。
 1週間の期限しかないのに、シリアで停戦協議がなるかについて、英国のハモンド外務大臣は疑問を呈している。率直にいって、それはロシアが何を欲するか次第である、と述べている。ロシアが空爆を中止するか、その規模を大幅に縮小しない限り、ハイレベルの政治的話し合いは成立しないだろう、と述べた。
 http://www.wsj.com/articles/russias-medvedev-says-world-is-fighting-a-new-cold-war-1455358705
 WSJ恒例の今週の5つの注目点(2月12日時点)。鉱工業生産の落ち込み、インフレ率の弱さ、住宅着工がどこまで伸びるか、Fedの考え、そして、ドル高による製造業への影響。
 http://blogs.wsj.com/briefly/2016/02/12/5-things-to-watch-on-the-economic-calendar-106/
 株価やジャンク債のスプレッドなど、マーケットベースの指数は警告を発しているが、実体経済にはまだ波及していないのではないか。いわゆるマクロ経済指標は、よりしっかりした数値となっている。
 米国経済はリセッションに向かっているのか。マーケットはそう示唆している。
 木曜日の株価急落により、ダウ株価指数は昨年5月の高値から14・5パーセントも下げた。リスクの高い債券の利回りは上昇し続けている。投資家は安全な資産へ逃避し、米国債が買われている。原油価格は12年ぶりの安値に沈む。
 しかし、経済指標はリセッションのサインを示していない。1月の雇用はしっかりしており、労働者は休みをとるのが難しいほどだ。
 このマーケットとマクロ指標との二項対立は、何を示しているのだろうか。
 もし、株価や社債イールドなどの金融指標を使えば、米国がリセッション入りしている可能性は5割に達するだろう。一方、不良債権比率やインフレ調整後の実質所得などのマクロ経済データを使えば、リセッション入りという判断は28パーセントまで低下する。
 当然のことながら、マーケットはリセッション予測を誤ることはよくある。しかし、ある一定のケースでは、マーケットがリセッションそのものを招いてしまう可能性がある。
 難しいのは、経済的な転換点は予想できないことだ。それは時には心理的な要因で変化することがある。単に金利や賃金がどうなるかでメカニカルに決まるものではないのだ。
 マーケットの不安心理は原油安や成長への懸念から来るだけではない。それは政策そのものからも不安が生じている。Fedは利上げを続けるのか。中国は人民元を切り下げるのか。英国はEUから脱するのか。米国はポピュリスト大統領を選ぶのか。政策の不確実性そのものがリスクプレミアムを創出している。
 http://www.wsj.com/articles/risk-grows-of-markets-sparking-recession-1455237288
 このエコノミスト誌の記事も、上と同種のシナリオ、見立てをしている。バックワードルッキングではあるが、実体経済を示す指標はそれほど悪くない。しかし、それが自己実現的に悪いスパイラルを引き起こす可能性がある、と。
 http://www.economist.com/blogs/freeexchange/2016/02/markets-lose-faith