英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

ルーブル安更新

 ロシアのルーブルが安値を更新した。
 FTの記事によると、十分な食料や衣服をまかなえないという家計の割合は1年前の22パーセントから39パーセントへほぼ倍増している。実質賃金も9・2パーセント下落した。ロシア経済と家計の苦境が強まっている。
 2016年のロシア経済は15年に引き続いてリセッションが続くことになりそうだ。原油安が直撃している。
 2015年の成長率は3・7パーセントのマイナスの見込み。西側の経済制裁原油安が響いている。プーチン大統領は危機のピークは超えたと述べているが、そうなりそうもない。
 原油安はロシアの銀行システム危機に直結しかねない。現在、ルーブルは1ドルに対して73ルーブルで取引されている。今年初めと比べて26パーセントも下落した。
 ロシアでは来年9月に議会総選挙が行われる予定だ。人々の生活に対する不安にどこまで答えることができるのか。
 ロシア政府の収入のうち、原油とガスの収入が半分を占める。それゆえロシア経済にとって、原油価格は死活的に重要だ。
 http://www.ft.com/intl/cms/s/0/85f99b74-af11-11e5-b955-1a1d298b6250.html#axzz3vrJ3LJU6
 ロンドンエコノミストの2016年巻頭を飾るのはブラジル。「Brazil's fall」と題されている。うつむくルセフ大統領の写真が印象的だ。
 2016年はリオデジャネイロでオリンピックが開催される。しかし、ブラジルは政治的、経済的な苦境にさらされている。
 ブラジル経済は2016年、2・5から3パーセントのマイナス成長が予想されている。15年よりも悪くなる予想である。ロシアのほうがまだまし、というくらいの低迷ぶりである。
 さらに、政治面ではペトロブラスに端を発するスキャンダルの嵐も吹き荒れている。ルセフ大統領は財政赤字の規模を隠蔽していた疑惑まである始末だ。
 いっとき、ブリックス諸国の中でも先駆的存在だとみられていたブラジルだが、夢ははかなかった。ブラジルが成功神話に復するには、厳しい選択肢しか残っていない。しかし、ルセフ大統領がその選択に耐えられそうもなさそうだ。
 ブラジルの苦境は、政策の失敗による面が大きい。もちろん油価低迷が響いたが、ルセフ大統領の政策、特に一期目の政策がブラジルを苦境に招いた。
 問題はこのままブラジルの苦境が続くと何が起きるか。ブラジルの債務は大半が現地通貨建てだ。デフォルトも起きそうもない。
 http://www.economist.com/printedition/covers/2015-12-30/ap-e-eu-la-me-na-uk