英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

共和党大統領と民主党大統領

 サマーズ教授の長期停滞論について。教授は米国経済は長く続く低成長の時代に入ったのかもしれない、と述べた。停滞する世界では資源が有効に使われず、インフレ率も無視できるほど低くなる。
 だが、この考え方自体、とくに目新しいものではない。エラリアンは「ニューノーマル」と呼び、かつて大恐慌後に多くのケインズ主義者たちも警告していた。
 日本や欧州の成長率が低迷する中、米国のみ一人気を吐いている。どこに米国の長期停滞論はあるのか、というのだ。だが、サマーズの投げかけた問いは解決されていない。欧州は依然として停滞の穴に落ち込んだままにみえる。
 問題は、成長率を人口要因と、資本要因、技術革新要因に分解した場合、米国の人口増が見込めないことだ。CBOの推計によると、今後10年間の米国経済の成長率は2・1%に過ぎない。1982年から2001年の平均は約3%だった。
 2%の成長率はスタグネーション、つまり停滞とは言えないかもしれない。
 http://www.newyorker.com/news/john-cassidy/economy-threatened-secular-stagnation
 中央銀行家はインフレ率に基づき、金融政策を運営してきた。だが、中央銀行は正確に将来のインフレ率を見通すことができるのだろうか。
 米国の場合、期待インフレ率を推計する場合、Fedの作成するフォーキャストを利用してきた。過去40年間ずっとそうだった。この論者によると、経済政策如何に関わらず、Fed民主党大統領のときはインフレ率を過大推計し、共和党大統領のときは過小推計する傾向にあったという。
 http://www.washingtonpost.com/blogs/monkey-cage/wp/2015/01/28/the-fed-cant-accurately-forecast-inflation-heres-why-this-may-hurt-democrats/
 クルーグマン教授。ギリシャ総選挙の結果を受けて、ギリシャと債権者団との合意が無秩序に崩壊する可能性を指摘している。論点を8点ほどに整理した上で、相も変わらず欧州の政策担当者は愚かなこと、つまり財政緊縮にこだわり、債務を倫理的な問題として扱っていると批判している。
 ギリシャの債務がいくらかという数字が問題なのではない。ギリシャの債務など、欧州の債権者団にとってトリビアルな数字だが、ギリシャにとっては大きな数字であると指摘している。つまり、債権者はギリシャに高いボールを投げすぎているというのだ。
 http://krugman.blogs.nytimes.com/2015/01/28/thinking-about-the-new-greek-crisis/?_r=0