英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

相続資産のトリクルダウン〜マンキューの反論

 曇り。早朝からコロンビア戦。残念ながら4対1で日本はグループリーグ敗退。今回のW杯は良いところなしだった。
 ウクライナ情勢はどうなっているのだろうか。停戦合意がなされたが、それもわずか一日で崩壊しようとしている。親ロシア派による反乱により9人が死亡した。プーチン大統領が緊張緩和に動き出したにも関わらず発生してしまった。
 http://online.wsj.com/articles/putin-drops-ukraine-military-option-1403608080?mod=WSJ_hp_LEFTTopStories
 マンキュー教授の富裕層擁護論が波紋を広げているようだ。言うまでもなく、Pikkety教授が拡大する格差を懸念しているのに対し、マンキュー教授はそうではないと異を唱えた格好だ。
 マンキュー教授いわく、Pikkety教授は将来の個人の生活水準は個人のスキルや努力ではなく、相続する遺産の多寡によって左右されるようになるという。
 http://www.nytimes.com/2014/06/22/upshot/how-inherited-wealth-helps-the-economy.html
 このマンキュー教授に対する反論。マンキュー教授は貯蓄こそ善なり、としているが、サマーズのsecular stagnation論に見られるごとく、むしろ我々の経済は有り余る貯蓄を効果的に使い切れず、長らく長期停滞に陥っていた。問題は貯蓄不足ではなく、貯蓄過剰である。
 http://www.cepr.net/index.php/blogs/beat-the-press/greg-mankiw-says-we-need-rich-people-because-they-wont-spend-their-money
 クルーグマン教授も参戦。マンキュー教授に早速論評を加えている。
 相続資産の功罪について。マンキュー教授は、相続資産の蓄積は、資本ストックを蓄積し、労働者へのトリクルダウン効果があるゆえに、好ましいと結論づけている。これに対し、クルーグマン教授は、機会費用を考えるべきだという。つまり、相続資産が相続人に受け継がれ、単に浪費される可能性と、そうでない人に受け継がれ、より効果的に活用される可能性を考えるべきだという。
 ここで問われているのは、相続財産への課税だ。資産が金持ちの手元に残り続けるのと、それが課税によって再分配されることの利益考量である。
 あまりに予想通りの結論とはいえ、クルーグマン教授らしい論評である。
 http://krugman.blogs.nytimes.com/2014/06/24/sympathy-for-the-trustafarians/?_php=true&_type=blogs&_r=0