英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

NAFTAのその後

 晴れ。街のあちこちで袴姿の女子大生を見かける。卒業式のシーズン。
 北米自由貿易協定、いわゆるNAFTAが発効して20年が経過した。NAFTAのその後について考察した一文。損得を勘定すると、トータルではプラス面が多いと思うが、勝者と敗者を生み出してしまう点があると述べている。そして、エコノミストの間では依然としてNAFTAの評価について、大きく意見が分かれている。TPPにおける日本国内の議論と似ている。
 http://economistsview.typepad.com/economistsview/2014/03/nafta-still-bedevils-unions.html 
 セントルイス連銀のブラード総裁が香港で講演を行った。いつもの通り、そのプレゼン資料。テーマは国際的な金融政策の協調についての2つの見方、というもの。非常に興味深い。
 米国のテーパリングが始まった中、先進国の金融緩和の縮小が新興国に与える影響について、懸念されている。金融政策は国境を超えて協調されるべきか。これはマクロ経済学上の古典的な問いかけでもある。
 昨年夏以降、テーパリングが取りざたされるようになって、マーケットに何が起きたのか。ブラード総裁は次の4つに整理している。
 一つは米国の金利が上昇したこと。2つめは、新興国通貨が米ドル比で減価されたこと。3つめは米国への資本流入だ。最後は、新興国市場の株価が下落したこと。
 この動きをどう考えるべきなのだろうか。これがブラード総裁の問いかけである。伝統的な見解によれば、これはグローバルなマクロ経済学上の均衡を模索する動きに過ぎない、と考える。これに対し、より急進的な見解によれば、これは不必要なボラティリティであると考える。ブラード総裁は最初の見解を支持しているが、議論の余地はあるという。
 もし後者の見解をとるのであれば、ある国の中央銀行は金融政策を決める上で、その国の物価だけでなく、海外の物価をも考慮に入れる必要があることになる。しかし、通常、政策担当者は海外の物価が自国に及ぼす影響については小さいとして、あまり考慮にいれてこなかった。政策を協調するメリットが小さい上、これまで金融政策の協調も行われてこなかった。
 しかし、後者の見解によれば、基本的な国際経済の見方は前者と同様であるが、各国の金融政策が良い政策を選ばない可能性があることにおいて、違いが出てくる。つまり、テイラールールに従わないで金融政策を決める国がありうることだ。それはゼロ金利制約があるからだ。その結果、世界経済に大きなボラティリティをもたらす危険性がある。
 米国がテイラールールに従うかどうかは、非伝統的金融政策をどのように考えるかに依存している。それは、非伝統的金融政策が効果的なのかどうか、という評価次第である。
 テイラー教授は最近の米国や先進国の金融政策は、ルールベースの金融政策から逸脱している、と論じている。その結果、不効率な国際均衡が生じている可能性がある。
 http://research.stlouisfed.org/econ/bullard/pdf/Bullard_Asian_Investment_Conference_March_27_2014_Final.pdf