英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

IMFの変心

 曇り。
 今日はIMFが公表したWEO、世界経済見通しに関する話題。
 http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2013/01/index.htm
 IMFは16日、世界各国の経済政策運営に関して、緊縮財政の手を緩めるよう求めた。特に米国と英国を念頭においた提言になる。米国の「sequester」は間違った方法だ、と断言し、もう少し時間をかけて財政状況を改善すべきだと結論づけた。
 英国についても、経済の回復力が弱い以上、増税と歳出カットによる緊縮財政策の手を緩めるべきだ、と述べている。ギリシャポルトガルのような国は国際的な支援を得るために、緊縮財政しか手はないが、英国やドイツのような国はもっと歳出の規模についても裁量の余地がある、ということのようだ。
 IMFの姿勢は、アジアや中南米通貨危機の時代と比べて大きく変わった。当時は厳しい財政再建プログラムを求めていた。その処方箋は、事態を一層悪くするとの批判が絶えなかった。しかし、近年は財政支出の果たす効果について、これまで過小評価していたと認めるように姿勢が変わった。
 http://online.wsj.com/article/SB10001424127887323346304578426502903053768.html?mod=WSJ_hp_LEFTWhatsNewsCollection
 IMFの報告は英国でも深刻に受け止められている。緊縮財政が響くと考え、英国の経済成長見通しをIMFは引き下げた。IMFのチーフエコノミスト、ブランシャール氏は英国に対して、もっと緊縮財政の手を緩めるべきだ、と警鐘を鳴らしていた。
 http://www.ft.com/intl/cms/s/0/e8d2982a-a665-11e2-885b-00144feabdc0.html#axzz2QfftMs6B
 リセッション時の財政政策はどのようにあるべきか。ロゴフ&ラインハート氏の小論を手掛かりに、Tim Duy教授が論じている。
 ラインハート氏は、今の苦痛(つまり、緊縮財政)を選ぶことによって、将来のより大きな苦痛(低成長)を避けることができる、と説いている。しかし、Duy教授はそれに異議を唱え、債務レベルがGDP比90%を超えても、それが実質的に成長にマイナス影響をもたらすことはない、としている。
 http://economistsview.typepad.com/economistsview/2013/04/how-much-unemployment-was-caused-by-reinhart-and-rogoffs-arithmetic-mistake.html