英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

コラテラル・ダメージ

 ようやく晴れたが、風が強い。
 昨夜の雇用統計発表に関するエラリアン氏の論評。11万5000人にとどまった新規雇用者数が、改めて米国経済の回復ぶりに疑念を投げかけた。長期失業者は510万人に達する。職に就いている米国民も、賃金上昇の恩恵を受けていない。物価が一方で上昇しているので、米国民の購買力は落ちている計算になる。
 つまり、消費はもはや経済成長の原動力たりえない、というわけだ。
 そして、こうした事態に政治がマヒし、”collateral damage”(二次的被害)を国民が被っている…。日本と状況は一緒なわけだ。
 http://blogs.ft.com/the-a-list/2012/05/04/confirmed-americas-jobs-crisis/#axzz1tqwFByAM
 エコノミスト誌の分析。労働力人口が、以前想定していたペースで増えていないことを指摘している。
 http://www.economist.com/blogs/freeexchange/2012/05/americas-labour-force-and-economy
 改めて指摘するまでもなく、雇用の回復は米国の大統領選の重要な争点だ。オバマ大統領が就任してからの3年あまり。2010年はじめに底打ちした労働市場は、民間部門で430万人の新規雇用を創出した。一方、政府部門は60・7万人の雇用を減らした。
 大方のイメージだと、オバマ大統領は「大きな政府」志向のように見られがちだが、けっしてそうではないことがわかる。
 業種別には、製造業や建設部門、政府部門の動きが注目される。
 http://www.economist.com/blogs/freeexchange/2012/05/americas-job-growth
 米労働局(BLS、Bureau of Labor Statistics)のデータを改めて読むと、興味深い。
 一つは非労働力人口(Not in labor force)の増加。高齢化の影響なのだろうか、じわじわと増えている。4月の非労働力人口は8841万人で、前月比52万人の増加。1年前と比べても、269万人増えている。
 当たり前かもしれないが、人種別、学歴別にみても、黒人やヒスパニック、高卒以下の失業率は相対的に高い。
 27週間以上の長期失業者は減少傾向にあるが、依然510万人もいる。
 B表をみると、民間部門の雇用は伸びているが、その増加幅が落ちていることもわかる。製造業の雇用吸収力は小さく、サービス部門がけん引している。
 http://www.bls.gov/news.release/empsit.a.htm