英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

忌避される米国債

 雨。今週は、菅首相の動向が注目される。

 米国のサマーズ前財務長官による寄稿。過去5年間の米国の経済成長率は、日本のバブル崩壊後と同じく、平均で1%にも満たない。同時に労働参加率が58.4%に低下し、仕事に就いている人は1000万人以上減少した。この失われた10年をどう考えるか。
 http://www.ft.com/intl/cms/s/0/b3c143b6-952d-11e0-a648-00144feab49a.html#axzz1Ovots3M6
 高い失業率の問題は、働きたいという人の意欲がかけているのではなく、雇用に対するビジネスの需要が欠けていることが原因であることは明瞭なことだ。
 過去、米国は、景気後退後、数年で需要は力強く回復してきた。しかし、今日、それは考えられそうもない。
 戦後、インフレの動きが経済のダイナミクスを規定してきた。ボルカーFRB議長が1980年代にインフレ抑制に成功して以降、資本が過剰となる時代が到来した。
 たとえば、出版業界。街の本屋は大型書店に駆逐され、大型書店はインターネット書店に、ネット書店は電子書籍に駆逐された。経済の潜在的な成長力が高まると同時に、より需要喚起力の低い層に消費が変化している。
 米国の財政問題に関する議論で受け入れざるを得ないのは、米国の信用力にとっての最大の脅威は、低成長が続くということだ。

 米国の銀行で、8月に米国債の使用を避ける動きが広がっている。債務上限をめぐる民主共和両党の協議が整わない可能性をにらんでいる。米国債の代わりに現金を保有する動きだ。
 http://www.ft.com/intl/cms/s/0/7880e61e-9521-11e0-a648-00144feab49a.html#axzz1Ovots3M6
 米国債は現在、世界の投資家が9・7兆ドル保有している。このうち4割、4兆ドルが買い戻しや先物スワップ取引市場で使用されている。つまり、米国債はより広範な金融システムで担保として使用されているので、債務上限闘争次第では大混乱に陥る可能性がある。