英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

ウェーバー辞任の衝撃

 大雪との予報だったが、朝起きてみても、降り積もるほどではなかったようだ。
 各種ブログなどでは、Rajanの「Fault Lines」の邦訳がひどい、という論評が出始めている。

 エジプトでは、とうとうムバラク大統領が退陣した。無血革命だ。一方、米国は、オバマ政権の情報収集能力に疑問符がつけられているようだ。
 http://www.ft.com/cms/s/0/280e21c0-35da-11e0-b67c-00144feabdc0.html#axzz1Dbm5Pihw
 http://www.nytimes.com/2011/02/03/world/middleeast/03egypt.html?_r=3
 今回の騒動は「18日若者革命」と名づけられている。チュニジアでベンアリ氏が追放されてからちょうど4週間後になる。アラブ世界では、現体制を変える力を人々が持っていることに突然目覚め始めた。
 オバマ大統領が求めているように、今後は公正で自由な選挙を実施できるかがポイントの一つになる。
 今回は軍の動きが焦点だった。1952年の革命以来初めて、軍が表舞台に登場し、軍事政権になる可能性もあった。しかし、民衆の要求はそうではなく、民主政へスムーズに移行するよう軍に求めた。
 
 このニュースを受けて、株価は持ち直し、原油価格は下落した。

 ドイツ・ブンデスバンクのウェーバー総裁の続報。
 http://www.ft.com/cms/s/0/4e388020-35f8-11e0-b67c-00144feabdc0.html#axzz1Dbm5Pihw
 ウェーバー総裁は4月末に辞任することになりそうだ。メルケル首相と金曜日に会談して合意した。
 ウェーバー総裁がECBのトリシェ総裁の後任に就くつもりがないことが今週表面化し、ベルリンを激怒させた。ウェーバー就任の芽が消えたことで、ドイツは代わりの候補者を急遽探さなくてはならなくなった。
 ウェーバー総裁の辞任の理由は、個人的理由、とされている。ただ、ウェーバー総裁は、ユーロ圏の救済システムが恒久化し、ECBがより積極的な役割を果たす方向にシフトしつつある中で、総裁に就任することに懸念を示していたと理解されている。
 また、彼が総裁として必要な支持を得られない可能性もあった。フランスは、ウェーバー総裁のタカ派的な金融政策の考え方に反対している。
 ウェーバー総裁の今後の去就について、ドイツ銀行など、民間金融機関への転出を予想する声が出ている。しかし、週末のゴタゴタの経緯により、そうした芽も消えつつある。
 野党のSPDは、ウェーバー総裁の無責任な行動を批判した。与党も、ブンデスバンクのレピュテーションが低下することを懸念している。
 メルケル首相と会談後にウェーバー辞任が公表されたことで、中央銀行の独立性にも疑問符がつけられるかもしれない。
 ウェーバー後任は来週公表される予定。今のところ、メルケル首相の経済顧問のJens Weidmann氏が最有力とされているが、メルケル首相に近すぎることが問題視されるかもしれない。
 トリシェ総裁の後任候補選びの議論は3月のユーロ圏首脳会合の後まで棚上げとなった。
 ウェーバー「ECB総裁」の芽が消えたことで、ドイツにとっての有力候補は、4400億ユーロファンドの責任者であるKlaus Regling氏に絞られた。
 
 英国の税制に関する話題。
 http://www.ft.com/cms/s/0/969a605e-3616-11e0-9b3b-00144feabdc0.html#axzz1Dbm5Pihw
 上位1%の高額納税者は今年、所得税の4分の1を負担するとの推計が明らかになった。
 人数にすると、27万5000人。100万ポンド以上稼ぐ1万3000人は、平均して100万ポンド(?)の税金を負担するという。
 
 昨日のジリアン・テットのコラムに関する話題。クルーグマンがコメントを寄せている。
 http://blogs.ft.com/money-supply/2011/02/11/map-illusion-and-different-maps/
 
 CDSと親との同居率の相関をみた興味深いグラフ。
 http://www.economist.com/blogs/freeexchange/2011/02/sovereign_debt