英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

輝ける英国債

 今日は昨日の強風・暴雨と打って変わって晴天に。テニス日和だが、雑用に追われて、そうのんびりとしていられない。

 ユーロ圏の債務危機の嵐の中で、英国債が相対的に輝いて見える、という記事。とうとうドイツのトリプルA格付けにも疑問符を突きつける投資家の声も出始めているというから驚きだ。
 http://www.ft.com/cms/s/0/86329736-ff02-11df-956b-00144feab49a.html#axzz176hHLuY6
 海外の投資家はわずか7ヶ月で473億ポンドもの英国債を購入した。金融市場を戸惑わせている問題は、この国債人気が終わるのかどうかだ。11月4日以降、BOEはFedのQE2に追随するのかどうか、はっきり示していない。第3四半期の経済成長率は市場予測を下回ったが、米国型の量的緩和を導入するとの見方は後退し、債券の金利は上昇している。
 しかし、国債保有している投資家はその保有規模について立ち止まって考えるべきだ。欧州の債務危機はECBの努力にも関わらず、そう簡単には収まらないだろう。おそらく沈静化するまで数年かかる。このことは、トリプルA格付けを持つ英国債は、債券投資に神経質になっている投資家からみて、魅力的に映るはずだ。
 トリプルAの投資ユニバースは縮小しつつある。スペインとアイルランドは、フィッチやムーディーズなどによって格下げされ、その地位を失った。
 今週、アジアで開かれた投資家向けプレゼンテーションの席上、かつてなら考えられないような質問が発せられたという。「ドイツがトリプルA格付を失うことはありうるのか?」
 こういう質問を発する投資家にとって、ドイツの財政状況に疑問符がつくものらしい。ギリシャアイルランドに財政危機が発生し、次の救済国はポルトガルかスペインと言われている中で、ドイツにもその懸念が広がった格好だ。その根拠は、ユーロの最貧国に対する財政支援がドイツに負担をもたらすのではないか、との懸念にある。このことは、8月末以降の、ドイツ国債に対する英国債のパフォーマンスの良さに反映されている。安全な投資の避難先として、ドイツ国債より英国債が見直されている。
 英国債見直しのもう一つの理由は、英国内の事情にある。経済成長の弱さ、財政再建による雇用悪化が需要に影響を与えそうだ。結果、利上げは遠のきそうだ。2012年以前に利上げを予想する意見はほとんどない。それゆえ、英国債への投資は、インフレや利上げの可能性の低い安全資産とみなされているのだ。
 3番目の理由は、量的緩和の再開の可能性が除外されていないことだ。最初の量的緩和でBOEは2000億ポンドの国債を買った。
 最後に、英国債保有する海外の投資家がポンド安を懸念する必要がない点だ。2007年7月以降、ポンドはユーロに対して20%も下落した。ユーロ圏のさまざまな問題は、ユーロに対して英国ポンドの再評価につながる。