英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

ドルの命運

 今週は忙しい一週間だった。あっという間に終わったが、肉体的な疲労は意外とない。今日午後のテニスが楽しみだ。

 海外のタックスヘブンに資産を隠そうという納税者を厳しく取り締まろうという英国の記事。財政再建で、悪質な脱税者を取り締まりに出ているようだ。
 http://www.ft.com/cms/s/0/90c5477a-ee9a-11df-9db0-00144feab49a.html#axzz157g6RFSq
 英国歳入庁は、リヒテンシュタインと上方の共有で合意した。2015年までに、リヒテンシュタインに英国の納税者が保有している口座から、30億ポンドの納税を見込んでいる。スイスとも同種の合意をした。
 さらに、3ヵ所、情報の共有に関する交渉を始めているが、具体的な名前は火公表だ。しかし、ジャージーマン島モナコルクセンブルクなどが考えられている。
 オズボーン財務相は、公的債務の削減のために、歳出削減より、予想外の収入を当てにしている。
 英国とドイツは、口座の匿名性を守ろうとするスイスに対し、厳しい交渉をしかけるなど、タックスヘブン問題に現実的に向き合おうとしている。
 
 ユーロ圏のソブリン問題。民間投資家の疑念は沈静化しつつあるが、問題は先送りされたに過ぎない。
 http://www.ft.com/cms/s/0/2d6626bc-ee41-11df-8b90-00144feab49a.html#axzz157kkr2hy
 アイルランドの債券市場は、6ヶ月ぶりに上昇した。投資家は第二の金融危機の淵に立っているのではないかと恐れていたが、政策当局者たちがアイルランド救済を考えるようになり、沈静化した。
 金曜日のアイルランド国債の価格上昇は、欧州5大国の財務相ステートメントを出したことがその理由だ。ステートメントでは、現在ユーロ圏の債券を保有している民間投資家にはソブリン救済の負担を負わせない、と述べた。
 この声明によって、2週間前に新しい救済システムをつくろうというEU条約交渉で浮上した、ソブリン債に関する不透明さや疑念が消えた。
 ドイツのメルケル首相は、新しい救済システムでは、民間投資家にももっと負担を負わせるべきだと主張した。しかし、この新システムは2013年までは適用されない。しかし、市場は、メルケルの強硬姿勢によって、アイルランドや他の周縁国が救済を必要とした場合に、現在の国債保有者が元本削減の負担を強いられると受け止めた。
 これはドイツの譲歩だ。将来の救済システムを話し合う場合、今回の声明はターニングポイントになる。ソブリン救済が行われた場合の、民間投資家の扱いは、ケースバイケース。
 一方、アイルランド政府は、EUの4400億ユーロの救済基金からの支援交渉について、否定している。問題は解決されたのではなく、先送りされたに過ぎない。多くの投資家は依然として、アイルランドの借り入れコストが急騰し、いずれ欧州救済基金に駆け込まざるを得ない、とみている。ギリシャポルトガルを含めた3カ国の金利は、歴史的な水準まで上昇したままだ。

 ドルの命運に関する記事。
 http://www.ft.com/cms/s/0/5d08be96-ee93-11df-9db0-00144feab49a.html#axzz157pqGkkJ
 ドルがここ数ヶ月、なぜ下落しているかというと、大きな理由の一つは味の中央銀行による準備通貨の分散が起きているせいだ。もしFedがドルの価値を下げようとするなら、その戦略を考え直す必要がある。安価なドルが市場に大量に流入しているにも関わらず、中央銀行による量的緩和観測からドルは持ち直している。
 一つの理由はユーロ圏のソブリン危機がある。神経質になったファンドマネージャーがユーロを売り、ドルが反面で上昇している。
 エコノミストたちは、量的緩和でドル安になる、という見方に疑問を投げかけ始めている。QE2はすでに織り込まれ済みであり、実際の決定も想定より小さかったというのだ。
 QE2の効果で、米国経済が回復する、という楽観論が、ドル価値下落の悲観論を上回っている、という説も浮上している。
 
 マネーサプライより。
 http://blogs.ft.com/money-supply/2010/11/12/eurozone-growth-fails-to-surprise/
 欧州の経済成長率は驚くような結果ではなかった。
 ユーロ圏の第3四半期の成長率は、0.4%の上昇。これは米国や英国より弱い。上半期より経済は減速している。
 しかし、ECBはそれほど失望していないようだ。ドイツは依然として0.7%の成長を続けており、フランスやイタリアも緩やかとはいえ経済成長している。0.4%成長は、ECBのベースラインシナリオ通りのようだ。
 
 先の記事にもあるように、アイルランドの債券金利が下落した。欧州高官が、ソブリン債投資家に与えるインパクトを縮小するよう、劇的に方針転換したからだ。
 http://blogs.ft.com/money-supply/2010/11/12/bond-haircuts-not-retrospective-say-ministers/
 木曜日にはアイルランド10年国債は9%を超えていたが、G20での声明で落ち着きを取り戻した。