英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

金本位制

 今日も快晴。週明けの月曜日だが、FT電子版は興味深いニュースがてんこ盛りだ。

 金本位制に関する議論が浮上してきた。
 http://www.ft.com/cms/s/0/eda8f512-eaae-11df-b28d-00144feab49a.html#axzz14dqiR8G5
 世銀のゼーリック総裁が金本位制を再び採用するよう検討すべきだと述べている。
 http://www.ft.com/cms/s/0/5bb39488-ea99-11df-b28d-00144feab49a.html#axzz14dyvXPtc
 名づけて「ブレトンウッズⅡシステム」。新システムは、ドル、ユーロ、円、英ポンド、それに中国の人民元を含み、国際主義と資本移動の自由を保障すべきだという。そして、インフレやデフレ、将来の通貨価値に関する市場の期待の「reference point」として、金を採用すべきだという。
 ゼーリック総裁の見解は、国際通貨システムに関する動揺を反映している。今週のG20でも、為替が想定になりそうだ。経常収支のインバランスを改善させようという米国案も反対が根強い。米国のQE2が、中国の人民元への批判(為替操作国であるとの認定)と両立していない、との批判もある。
 金本位制へ回帰せよ、という提案は時折浮上するが、これを採用すると、緊縮的な金融政策に傾きがちになり、経済成長や失業の改善が達成しにくくなる。
 1945年に創設されたブレトンウッズ体制は、金の価値にリンクした固定為替相場制を採用していた。そして、資本の移動を制限する規制がそれを補強していた。

 英国国教会のトップが、英国の社会保障改革に異議を唱えている。
 http://www.ft.com/cms/s/0/9cc6bb32-eaa6-11df-b28d-00144feab49a.html#axzz14dtv49Aj
 槍玉に挙がっているのは、長期失業者を4週間の短期雇用するとの措置。この措置は「不確定、失望のスパイラルを加速させるもの」だと批判している。財政再建は、死活的に重要な社会保障サービスを麻痺させるものだと警告している。
 しかし、この発言は強い反発を招いている。

 GM再建に辣腕を振るったラトナー氏の投稿。随分楽観的な感じがする。
 http://www.ft.com/cms/s/0/5aa7544e-ea99-11df-b28d-00144feab49a.html#axzz14csWmzA5
 先日の雇用統計は、民間部門の雇用が増加する良いニュースだったが、先行きの見通しはグルーミーだ。
 積荷満載のジャンボジェット機のように、米国経済は離陸するのに必要なスピードをなかなか得られないでいる。
 しかし、経済指標は少しずつ改善している。自動車販売は回復し、フォードやGMも業績が回復しつつある。2009年3月にバーナンキ議長が述べた「green shoots」が、芽生えつつある。二番底に陥ることはなく、日本型デフレの危険性も低い。
 米国の生産性は今回の不況の間も成長し続けており、この結果、失業率が悪化しているのだが、企業の収益は改善し、競争力も増し、将来の雇用の可能性につながっている。
 テクノロジー分野や金融、娯楽分野における高い付加価値でもリードしている。
 金融危機由来の不況の場合、回復は非常にゆっくりとしたものになる。それゆえ、拡張的な政策が不可欠だ。それなしには、経済の回復はゆっくりしたものにならざるを得ない。

 周期的なテーマ。ユーロ周縁国、ポルトガルへ焦点が当たりつつある。 
 http://www.ft.com/cms/s/0/dbe3dbfe-ea9e-11df-b28d-00144feab49a.html#axzz14cxSAx9c
 若いポルトガル人にとって、ユーロなしの生活はもはや考えられない。ブリュッセルや他の北欧諸国がポルトガルに財政規律を課すことについても、ためらいは感じない。
 しかし、この9ヶ月のポルトガル財政は、予想より悪い。アイルランドの次と目されつつある。ユーロ圏を、優等国と劣等国に二分させるアイデアは、エコノミストからばかげた考えだとみなされていた。
 先週、ポルトガルアイルランドは債券市場で不名誉な記録を記した。ポルトガルの10年国債金利は6.8%に達した。アイルランドドイツ国債比のスプレッドは532ベーシスに達した。
 ユーロ圏首脳は、将来ソブリン危機が起きたときに、債券保有者(投資家)の負担のもので債務調整をするというメカニズム創設で合意した。これでポルトガルアイルランドの債券保有者はおびえ始めた。
 一方、良いニュースも飛び込んできた。中国の胡主席リスボンを訪問し、中国政府高官は、ポルトガル国債の購入を示唆した。
 ポルトガルソクラテス首相は、過去25年で最も緊縮的な予算を組んだ、と主張している。
 スペインもデフォルトの淵をふらふらさまよっているかのように見える。スペインの経済規模はポルトガルの6倍ある。