英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

ドイツ銀行が増資へ

 昨日は忙しさにかまけて、更新を怠る。残念である。今日は89回目。

 マーケット概況から。
 http://www.ft.com/cms/s/0/9ebb052e-ba4a-11df-8e5c-00144feab49a.html
 株式市場はドイツ以外は上昇した。ドイツではドイツ銀行が90億ユーロの増資を計画しているとの報道が伝わった。このことが、銀行セクターのバランスシートへの疑念を思い起こさせた。
 一方でよいニュースもある。ノルウェーSWFがいわゆる周辺国の債券を買っているという。日本のGDP成長率の上方改定もポジティブなニュース。同時に、追加の経済刺激策110億ドルのニュースも伝わった。中国は輸入の増加で貿易黒字幅が縮小している。インフレ率や生産に関する統計の発表時期についての疑念も広がる。米国では政治面での停滞に市場は疲れつつある。オバマ政権の景気刺激策は議会を通りそうもないからだ。

 ヘッジファンドマネージャーたちのこれまでの稼ぎに関する記事。
 http://www.ft.com/cms/s/0/4b877178-bd13-11df-954b-00144feab49a.html
 http://www.ft.com/cms/s/0/981a7710-bcff-11df-954b-00144feab49a.html
 創業以来、トップ10マネージャーは総額1530億ドル以上、投資家のために稼いだという。ジョージ・ソロスのクオンタムファンドやジョン・ポールソンのポールソンは、マクドナルドやディズニー以上の金を稼いだ計算になる。
 1994年創業のポールソンのリターンは264億ドル。トップのヘッジファンドに共通するのは、運用資産の規模を厳格にコントロールし、投資戦略を損なうほど規模を大きくしなかったことだという。たとえば、Appaloosa Managementというファンドは124億ドル稼いだが、運用資産規模はそれと同程度の125億ドルしかない。
 ソロスは、1973年の創業以来320億ドルを稼ぎ出した。1年あたり9億ドル稼いでいる計算になる。別の見方をすると、ソロスと彼のチーム300人は、3万4300人の従業員のいるアップルより大きなリターンを投資家に還元していることになる。
 ただ、ヘッジファンド業界全体でみると、7000人いるマネージャーのうち、上位100人で全体の4分の3以上を稼いでいる。
 最近の研究によると、ヘッジファンドの運用リターンは公表数字より実際は3から7%低いという。1980年以降のヘッジファンドの平均リターンは12.6%。ただ、実際に投資家が受け取るリターンは6%しかない。これは株式より若干低く、債券を大きく上回るわけではない。
 同様のことがミューチュアルファンドでも起きている。直近のマネージャーの運用成績をみて選びがちだが、その成績はたいてい長続きしないという。
 上位10ファンドの大半は、1990年より古い創業。そして、1ファンドを除き、すべて米国に運用拠点がある。

 ドイツ銀行の増資の件。
 http://www.ft.com/cms/s/0/9eea4d9c-bc3a-11df-8c02-00144feab49a.html
 今週末決められるバーゼル委員会による新資本規制にあわせ、ドイツ銀行は80から90億ユーロ規模の増資を検討しているという。来週月曜日か火曜日に公表予定。これがきっかけで、世界中の銀行の増資ラッシュが起きるかもしれない。このライツイシューの規模は、欧州の銀行で今年最大規模になる。ちなみに、ドイツ銀行時価総額は300億ユーロ。株価は下落。コメルツ銀行の株価も下落した。
 ドイツの銀行業界は、バーゼル委員会に対して、基準を緩和するよう要望している。特に、資本の脆弱なLandesbankenにとって切実だ。もし厳しい規制が導入されると、ドイツの銀行業界は1050億ユーロの資本調達が必要になるという。
 ドイツ銀行は調達した資金を使い、すでに29.9%の出資比率を持つポストバンクへの出資比率を引き上げる。
 ドイツ銀行は、金融危機の過程で大規模な資本調達をしてこなかった、数少ない大手銀行の一つ。ポストバンクへの出資比率引き上げは、ドイツ銀行自身の資本増強という本当の狙いの隠れ蓑という指摘もある。
 6月末のTier1比率は11.3%。増資の幹事証券として、10の投資銀行が名乗りをあげているという。

 FTの人気記事より。ゴールドマンの予測によると、経済成長と投資拡大により、中国の株式時価総額は2030年に米国を追い抜くという。
 http://www.ft.com/cms/s/0/ca09873c-bb6c-11df-a136-00144feab49a.html
 世界の新興市場の株式時価総額は、今後20年間で14兆ドルから80兆ドルへ5倍になるという。中でもBRICsのシェアが4割強を占める。トップ3は中国、米国、インドで、4位はブラジルか日本という。ロシアは6位で、次いで英国、フランス、ドイツの順番。
 過去15年間、新興国の株式市場は6倍に成長してきた実績をもとに将来を推計している。
 先進国による投資総額のうち、新興国へ投資するファンドのシェアは現在6%だが、これが2030年には18%に成長するという。 

 トリシェインタビュー。
 http://www.ft.com/cms/s/0/13730da2-bc31-11df-8c02-00144feab49a.html
 ユーロの財政ルールを破った国は、欧州における政治的な意思決定の場から一時的に排除されるべきだ、という過激な意見を述べている。この提案は、過去11年間のユーロのガバナンスの歴史の中で、「quantum leap」であり、ギリシャ型危機を起こさないために必要だとしている。