英字紙ウォッチング

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エルドガンの報復

 エコノミスト最新号はもちろん(というべきか)、トルコのクーデタ未遂事件である。タイトルは「エルドガンのリベンジ」。トルコの大統領はこれまでトルコ人が命をかけて守ろうとしてきた民主主義を破壊しようとしている、という警告である。
 記事の写真もすごく良い。
 7月15日の夜に起きたクーデタはなぜこれほどひどく下手を打ったのだろうか。どれほど高い地位の高官が陰謀に関わっていたのか。
 不明な点の多いクーデタだが、わかっていることが2つだけある。一つはトルコの人々が兵士たちに相対し、路上に出る勇気を示したことだ。数百人の市民が死んだが、民主主義を殺すような試みに断固としてノーを突きつけた。
 2つめは、人々が命をかけて守ろうとした民主主義をエルドガン氏が非常なスピードで破壊しつつあることだ。彼は最低3カ月間の非常事態を宣言した。6000人以上の兵士が拘束され、警察官に至っては数千人に及ぶ。クーデタに関係しないと思われる学者や教師、公務員も拘束されている。
 このエルドガンの報復は非常に深く、しかも広範囲である。少なくとも6万人が影響を受けていると思われる。それゆえに、アメリカがイラクで行った非バース化に匹敵すると指摘する向きもある。このエルドガンの報復は隣国である欧州や西側諸国に深刻な危険を及ぼす可能性がある。
 http://www.economist.com/news/leaders/21702465-turkeys-president-destroying-democracy-turks-risked-their-lives-defend-erdogans