英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

逃げ出す投資家

 水曜日、世界の株式市場は下げが止まらなかった。流出した資金は安全資産に逃げ込んだ。国債や金、円などだ。
 http://www.ft.com/intl/cms/s/0/78de861e-bf17-11e5-846f-79b0e3d20eaf.html#axzz3xjoCn3sy
 昨年、投資家たちは新興国市場から記録的な勢いで逃げ出した。成長見通しが低迷していることと、債務が膨らんでいることについての恐怖からだ。流出した資金の規模は7350億ドルに相当する。
 IIFの調査によるもので、2016年は15年よりさらに悪化すると予想されている。
 これらの資金流出の大半は中国からの流出で説明できる。今年も15年と同程度の資金が中国から流出すると予想されている。
 投資家たちは次第に、中国政府が消費主導の経済にスムーズに移行できないのではないかと心配し始めている。世界第二位の経済大国が単に減速しているのではなく、鼻から突っ込むかたちで墜落するのではないか、とみられているのだ。
 たしかに世界貿易が縮小し、商品価格が低下している震源地はたしかに中国かもしれない。しかし、それだけが原因ではない。他の新興国も中国同様に投資家の資金流出に苦しんでいる。
 これまで新興国の成長が加速するという見通しは、低コストで調達できる債務に負っていた部分がある。しかしいまや借り入れコストは上昇し、輸出に対する需要や商品価格は下落に転じた。
 規模の大きな新興国の中でもブラジル、南アフリカ、トルコがもっとも脆弱だ。貿易赤字、ドル建てで積みあがった多額の債務、そして、弱弱しい経済が弱点になっている。
 http://www.wsj.com/articles/investors-fled-emerging-markets-at-a-record-pace-in-2015-1453284003
 ピーターソン研究所に移ったブランシャール氏。世界金融危機が起きて以降の、インフレ率の振る舞いは多くの人々にとって不思議なものだった。
 クルーグマン教授流に言えば、過去の不況時のように今回の危機時にインフレ率が反応するのであれば、今頃深刻なデフレに陥っていたはずだろう。ところが、いまはそうなっていない、と。
 そこでブランシャール氏はインフレ率と失業との関係について再検証してみた。その結果、4つの結論が得られたという。
 一つは、低失業率がインフレ率を押し上げる動きは依然としてみられることだ。つまり、米国において、フィリップスカーブはまだ生きている。
 2番目。しかし、インフレ期待はよりしっかりとアンカーされている。しかし、それはインフレ率の変化よりもインフレの水準と失業率に関係が出ている。
 3番目。フィリップスカーブの傾きはより緩やかになっている。
 http://www.piie.com/publications/pb/pb16-1.pdf