英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

アフター・パリ

 晴れ。
 10月のFOMC議事要旨が公表された。Hilsenrath記者の報告。議事要旨による議論をみる限り、Fed幹部らは12月利上げに傾いている。インフレ率と失業の改善トレンドが悪化方向に転じなければ、だ。
 10月の会合で、幹部らは言葉遣いも変えた。
 しかし、水曜日の株式市場は上昇した。これはすでに12月の利上げが市場に織り込まれていることを示している。
 問題は最初の利上げ後の利上げペースに移っている。
 メンバーの分布をみると、早く利上げすべきという意見と、利上げは時期尚早という両極端の意見が少数派でそれぞれ存在し、大多数の意見が中央に存在している。
 注目すべきは、12月に利上げをすべき、という理由づけの部分。バブルや金融市場のゆがみを引き起こすという理由ではなく、動かないことによってマーケットに不確実性をもたらすリスクがある、というのだ。
 議事要旨はいくつかの新たなメッセージを含んでいる。ひとつは、最初の利上げ後のペースが例外的に緩やかになりそうである、というものだ。
 一方、Fedのスタッフが注目しているのは、労働生産性の低さと高齢化だ。
 http://www.wsj.com/articles/fed-minutes-december-could-well-be-time-for-rate-hike-1447873643
 アジア市場はFedの議事要旨を受け、上昇相場でスタートしている。
 http://www.wsj.com/articles/asian-markets-rise-as-fed-message-crystallizes-1447896994
 当然予想されることながら、パリのテロ事件はメルケル首相の難民問題解決策が試されることになる。
 ドイツには多くの難民が押し寄せている。ドイツ国民にとって、パリのテロ事件は人事ではない。彼らもテロリストのターゲットになるのではないか、と。
 政治研究者の一人は、パリの襲撃はメルケルに対するポピュリスト勢力からの反撃のリスクが高まりうる、と述べている。
 東欧諸国からも批判の声が増幅している。ポーランドやフランスの政治家がドイツの難民政策を批判している。「安全なしに自由はない」と。
 ドイツ国内からもメルケル批判は高まる一方だ。ただ、支持率の落ち込みは驚くことではないという論評もある。9・11テロのときも、与党に対する支持率は下がったことがあるからだ。
 金曜日にはミュンヘンで与党CSUの党大会が開催される。この場がメルケルにとって試練の場になるだろう。
 「パリがすべてを変えた」。今後は「アフター・パリ」という言葉が流行するかもしれない。今のところ、メルケル首相は難民政策を基本的には変更していない。しかし、難民に手渡す現金をしぼるなど、徐々に締め付けを強めている。
 http://www.ft.com/intl/cms/s/0/ebed4fde-8e05-11e5-8be4-3506bf20cc2b.html#axzz3rtKAatQh