英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

ドイツの排外主義

 曇り。朝からドタバタ。
 欧州の難民問題関連でいくつかのニュースが発生している。
 スロベニア政府は難民流入が急増していることに対応し、軍隊を使用することを検討している。警察だけでは対応しきれないからだ。
 http://www.wsj.com/articles/slovenia-considers-using-military-to-aid-flow-of-migrants-1445095457
 一方、ドイツでは地方自治体の市長候補が刺される事件が起きた。容疑者の動機は排外主義。
 投票日前日の出来事で、ドイツのケルン市長選に立候補していた女性が刺され、重傷を負った。
 http://www.wsj.com/articles/german-mayoral-candidate-stabbed-day-before-election-1445101577
 メルケル首相が進めている開放的な難民政策に対し、お膝元であるCDUは反対の姿勢を示している。メルケルとCDUの衝突は避けられない。政党支持者別に難民政策について尋ねたところ、CDUやCSU支持者よりも、緑の党社会民主党支持者のほうがメルケルの政策を支持している割合が高い。
 CDU支持者の声はたとえばこんな風だ。
 「あなたは失敗している。誰がドイツにやってきて、どの程度、そして、どのくらい多くの難民がすでにドイツにやってきているか、知らないのだ。この難民の大量流入は終了させるべきだ」。
 メルケル首相がその職について10年ほど経過したが、難民問題は、彼女の在任中でもっとも厳しい政治的チャレンジであると言えそうだ。
 批判の要点は、大量の難民がドイツに入ることで、ドイツの公共サービスや安全、文化までもが脅かされるという懸念だ。さらに、これまで静かなプラグマティズムをもって権力を築き上げてきたメルケルが、なぜ開放的な難民政策に舵を切ったのか、支持者は理解できない様子だ。
 メルケル首相の支持率は急低下しているが、彼女はそれにじっと耐えていると側近は話す。彼女が東ドイツで育ったという生い立ちが影響しているという分析もある。
 http://www.wsj.com/articles/chancellor-angela-merkels-party-bridles-at-her-open-door-migrant-policy-1445014868
 これはトルコの動き。EUと共同で進めている難民問題への対処について、交渉が続けられている。大人数のシリア難民が流入するのを防ぐために、国境周辺のセキュリティを強化する代わりに、シリア内に安全地帯を設けるべく動いているが、なかなか進まないでいる。
 EU側はトルコに30億ユーロを供与する方向で交渉を進めている。
 http://www.wsj.com/articles/turkish-officials-say-deal-with-eu-is-far-from-completion-1445010159
 改めて。世界を変えた一枚の写真。
 http://www.wsj.com/articles/aylan-kurdi-and-the-photos-that-change-history-1442002594