英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

ドイツの本音

 晴れ。台風が過ぎ去り、夏の空が広がっている。
 国民投票が行われたギリシャで、今度は総選挙の話が持ち上がっている。今年9月か10月の実施が想定されている。2012年5月以降でカウントすると、4回目となる。チプラス首相はシリザ党内の反対派を一掃するため、その前の内閣改造を考えている。
 一種、チプラス首相はより親EU的な立場に変心しようとしている。より親EU的な野党の協力も得たい考えだ。こうした動きを考え合わせると、ギリシャ救済の道筋に障害物はなくなりつつあるかのように見える。
 明日月曜日からギリシャの銀行の営業が再開される。ただ、現金引き出しの制限は残されたままだ。
 http://www.ft.com/intl/cms/s/0/496b50b6-2d30-11e5-8873-775ba7c2ea3d.html?siteedition=intl#axzz3gHr63WC1
 ドイツの本音がいよいよ露になった。
 ドイツのヘゲモニーにまつわる暗い記憶が呼び起こされるのを嫌い、ドイツはこれまで自己の経済的な力を誇示することを避けてきた。しかし、そうした遠慮をかなぐり捨て、EUが変質しつつあるのではないかという懸念がドイツ近隣諸国が感じ始めている。
 交渉の場であるブリュッセルにおいて、ドイツはメルケルとショイブレが良い警官役と悪い警官役を演じ分けていた気配がある。もはやここに至ってはそういう小細工は不要になり、メルケル首相はドイツ連邦議会において、自主的かつ秩序だったグレキジットはありうる選択肢であると認めた。
 今後の焦点は、ドイツがギリシャに対し、実際にグレキジットを促す方向に動くか否かだ。 
 隣国フランスの立場も微妙だ。オランド政権内でもっとも国際派の人々も、ベルリンのアプローチではユーロ圏プロジェクトの性格を変質させかねないと懸念している。それは、かつての宗教戦争のときのように、北部欧州のカルバン派と、南部欧州のカトリック派に分かれたときのようだ。
 ドイツはけっしてユーロ圏内の最強硬派ではなく、ドイツの背後にいる北部の小国が、もっとも強硬な本音も抱いている。
 http://www.ft.com/intl/cms/s/0/3c65702c-2c81-11e5-8613-e7aedbb7bdb7.html#axzz3gHr63WC1