英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

ギリシャ悲劇

 曇り。今年の梅雨は雨が多く、鬱陶しさが募る。
 ギリシャ悲劇、と題するエコノミストの論評。今年1月の総選挙で、チプラス首相とシリザ党を選んだことはギリシャにとって悲劇をもたらすことになったと言わざるを得ない。
 ただ、ギリシャ経済や債務の状況は良い方向には向かっている。IMFなどの債務支援があれば、安定に向かう可能性があるというのがIMFの分析結果だ。しかし、悲劇的なのは、このIMFの分析が出たのがチプラス首相が国民投票を決める前だったことだ。国民投票を行うと決めたことで、経済にダメージを与え、国内の銀行は閉鎖を余儀なくされ、債権者との交渉も暗礁に乗り上げた。仮に週末の国民投票でチプラス首相にノーとの結果が出たとしても、シリザ党がもたらした混乱状態から回復するのは相当のコストがかかりそうだ。
 ポピュリスト政権を就任させたツケは大きかったということか。
 過去の歴史を振り返ると、ギリシャの公的債務リストラの規模は、中高所得国としては1975年以降、4番目に高い。
 IMFの最新分析によると、当初2014年5月に計算したときには、ギリシャの債務は2020年にGDP比で128%まで改善するとみていた。しかし、その後いい意味での想定外の進捗があり、2020年の数字は117%まで改善すると見込まれている。
 しかし、すべては国民投票の決断によりおじゃんになった。
 http://www.economist.com/blogs/freeexchange/2015/07/imfs-sad-story
 明日の国民投票を前に、イエス派とノー派が互いに気勢をあげている。アテネの中心部ではわずか数百ヤード離れた場所で、双方が集会を開いている。チプラス首相が「ノーを」と叫べば、賛成派は「ギリシャ、欧州、民主主義」と叫ぶ。
 両者の支持率は拮抗しているとみられている。今週初めの世論調査によると、ノーのほうが上回っていたが、月曜日以降の銀行閉鎖などを受け、もしノーと投票すれば、経済的な混乱が深刻になるとの懸念が浮上している。
 http://www.wsj.com/articles/eurozone-gives-greece-breathing-room-on-loan-repayment-1435928970
 ギリシャの国内銀行は預金取り付けの想定を始めている。具体的には預金総額の最大3割をヘアカットする安打。上限は8000ユーロ。近い将来、ありうべきシナリオだという。
 http://www.ft.com/intl/cms/s/0/9963b74c-219c-11e5-aa5a-398b2169cf79.html?siteedition=intl#axzz3etHvGK7j