英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

利上げ競争

 曇り時々雨。夜半の雨のせいか、明け方は涼しい。
イングランド銀行の新しいチーフエコノミスト、Haldane氏がインタビューに応じた。金融危機後はニューノーマルの時代で、危機前のように、金利が上昇することはありえず、金利は2〜3%になる、と述べた。
 先週水曜日に公表されたMPCの議事要旨によると、利上げは今年末の前にも始まるかもしれないことが示唆されている。ただ、利上げのペースは漸進的であり、金利の水準も危機前には戻らないことも示唆されている。たとえば、金融危機前の10年間(1997年〜2007年)の政策金利は3・5%から高いときは7・5%の間で推移した。
 余談だが、こういうチーフエコノミスト、というの存在は日本銀行にはないなあ。
 http://online.wsj.com/articles/u-k-interest-rates-wont-return-to-precrisis-levels-says-boes-chief-economist-1403354523?mod=WSJ_hp_LEFTWhatsNewsCollection
 Haldane氏のスピーチに、オックスフォードのSimon Wrens-Lewis教授も反応している。米国と英国の利上げ、利下げをめぐる来し方行く末を論じている。日本と大きく異なり、両国とも利上げが視野に入ってきた。大きな問題は、いつ両国が利上げするか、という問題だ。
 両国の物価は、ターゲットとする水準にまだ達していない。米国のCPIは5月にわずかながら2%を超えたが、この動きは不安定で、これをもって直ちに利上げには踏み切りにくい。実際、先日のFOMCの見通しでも、しばらくの間、このターゲットを下回る水準が続くとみられている。
 ただ、利上げの政策効果が浸透するにはタイムラグがある。そのため、物価が本格的に上昇し始めてから利上げに踏み切るのでは、手遅れになる可能性がある。そこが金融政策の悩ましい点だ。それゆえ、両国にとって、将来の物価を決めるのは何かが、一番フォーカスされる点になる。
 エコノミストが普通言うのは、インフレを測定するのにより適切な方法は、GDPギャップを使うことだ。これを使って米英のインフレをみると、英国のほうがギャップが縮小しており、より物価は上昇基調にあると言える。
 ただ、この背景には英国の生産性がリセッション以降低下していることがある。これは英国の「生産性パズル」と呼ばれている。これが恒久的なものなのか、それとも反転可能なのかについては、議論が分かれるところだ。このことを考慮に入れると、英国はむしろ米国と比べて、利上げの環境にない、と言えるかもしれない。
 労働市場に目を転じるとどうか。これはそれぞれ異なる理由だが、両国とも依然として、労働市場のスラックが残っている。
 http://mainlymacro.blogspot.jp/2014/06/the-race-to-raise-interest-rates.html
 先日のイエレン議長の記者会見について。議長は「histrical norms」という言葉を使った。株価はバブルではなく、歴史的にみて標準的な水準にあると述べた。最初のグラフ(株価の先物指数と収益との比率。先物PER?)を見ると、15倍前後と歴史的にみてさほど高いわけではない。
 http://ftalphaville.ft.com/2014/06/20/1882162/irrational-exuberance-janet-yellen-and-the-stock-market/