英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

キプロスという雛形

 桜がいちばんきれいな盛りだというのに、あいにくの雨。気温の低下も著しい。
 今週は金曜日の雇用統計がもっとも注目される経済統計になる。
 http://www.calculatedriskblog.com/2013/03/schedule-for-week-of-march-31st.html
 米国の製造業再生についての論評。過去50年間でもっとも顕著に減少した製造業は、多くの低スキル労働者を雇用する製造業だった。これらの製造業が将来、復活する可能性はあるのだろうか。そのダイナミズムの兆候が見られ始めている。 
 たとえば、グーグルの開発するディスプレイ技術の「Glass」。アイフォーンを製造する中国のフォックスコンのように、大量の労働者を雇用することはないが、「製造業」の一種として、労働者を雇用する可能性があるという。 http://www.economist.com/blogs/freeexchange/2013/03/labour-markets-2
 ユーロ危機についての考察。考えてみれば、日本でもよく指摘される経済の課題は、欧州諸国も同じように抱えている。人口の減少や教育、テクノロジーで常に最先端を走り続けること。過剰な規制や硬直的な労働市場、非効率な公的セクターなどの問題も、日本も欧州もともに直面している課題といえる。
 問題は、キプロス問題の処理が、今後ユーロ圏で同種の銀行危機が起きた場合の雛形になるのかどうかだ。先日、ユーログループのトップで、オランダの財務大臣でもあるJeroen Dijsselbloem氏の発言が話題となった。彼は、キプロスへの資金援助(ベイルアウト)を生かすために、預金者に負担を求める(ベイルイン)ことが、今後ユーロ圏で同種の銀行危機が起きた際に対処する雛形になるかもしれない、と述べた。
 氏の言っていることはまっとうだが、現在の状況下で実行するのは危険だ、と指摘している。預金保護の対象外の預金は、銀行危機のときには保護されない、と主張することは正当なことであるが、それによってマネーサプライの成長期待を押し下げてしまう。
 http://www.economist.com/blogs/freeexchange/2013/03/euro-crisis-4