英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

ターナー長官のヘリコプターマネー論

 曇り。今日の天気は下り坂。
 今朝の日経新聞編集委員の滝田洋一氏が引用していた英国FSAのターナー長官の講演はこちらのようだ。正式なタイトルは「債務、マネー、そしてメフィストフェレス〜どのようにしてこの混乱から抜け出るか」。メフィストフェレスというのは、この文脈においては、ゲーテファウストのように、道徳的な罪とされているマネーファイナンスのことを指す。ちなみに、FSAのホームページでこのスピーチを探すのはたいそう分かりづらかった。
 本文だけで46ページ、添付の図表は70ページを超えるが、じっくり読むに値するスピーチ。随所に引用があって、白川前総裁の講演と同じ匂いがする。
 http://www.fsa.gov.uk/library/communication/speeches/2013/0206-at
 まず、金融政策の目標とその目標を達成するための手段を分けた上で、金融危機時の政策については、金利を動かして信用やマネーの価格に影響を与え、裁量的な財政政策は必要ない、とのコンセンサスが中心だった。クレジットやマネーの量に直接働きかける政策手段は必要ない、というコンセンサスもあった。
 しかし、危機後においては、幅広い角度から政策手段が検討されるようになった。ゼロ金利の政策下において、中央銀行量的緩和政策を実行するようになった。そして、買い入れの対象資産も国債だけにとどまらず、リスク性資産へ拡大された。財政政策も総需要のマネジメントにおいて、効果的なツールだと再認識された。
 そして、こうした金融危機後の政策転換において、もっとも極端な政策(extreme option)が、いわゆるヘリコプターマネー(OMF、overt money finance)であり、その選択肢を3つの理由から排除すべきでない、とターナー氏は説く。OMFの可能性について考察することは、現在の経済が抱えている問題を深く理解することにつながる、と説く。
 そのあと、8つの章(問い)に分けて検討していっている。