英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

one-size-fits-all 金融政策

 リチャード・クー氏の考察。ドイツ経済がITバブルの崩壊によって低迷したとき、ECBは政策金利を2001年の4・75%から2003年の2%まで引き下げ、ドイツ経済を下支えしようとした。
 しかし、超低金利政策はドイツ経済にほとんど影響を与えなかった。インフレ率は低いままで、マネーサプライは伸びず、家計や企業は債務減らしに努めた。
 ドイツ経済がそういう状態のままで推移する裏側で、ヨーロッパ周縁国では違う事態が進行していた。
 テイラールールを単純に当てはめると、容易に想像できることだが、欧州周縁国と欧州コアでは理論上の政策金利は相当異なっている。また、実際の政策金利は、欧州コア諸国のテイラールール上の金利に近い水準でこれまで推移してきた。
 ドイツが自国のバランスシート不況に対処するために、財政刺激策を活用していれば、ECBによる金融緩和は不必要で、これほどまでに競争力格差が広がることもなかったという。 http://ftalphaville.ft.com/blog/2012/06/21/1053921/koo-on-german-bubbles/
 欧州危機を克服するうえでのテーマになっている財政同盟(fiscal union)の概念についての考察。財政同盟とは、中央に単一の財政当局があって、自動的にユーロ圏内部の財政移転を行うことができる仕組みのことだ。米国の州を思い浮かべればよい。
 クルーグマン教授が、テキサス州を例に適切なたとえを行っている。
 だが、いまというタイミングは、財政同盟に移行するのに適切な時期ではない。  http://economistsview.typepad.com/timduy/2012/06/what-fiscal-union-means.html