英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

預金流出

 ここ数日で急に寒くなった。今年は寒い冬になりそうだ。
 
 アイルランドの金融システムが流動性危機に陥っている。同国内の銀行で預金流出が発生。ECBによる流動性供給以外に、アイルランド中央銀行も同国内の銀行に対し、緊急の流動性供給を行っている。関連記事も下記以外に多数ある。
 http://www.ft.com/cms/s/0/28d67dca-f285-11df-a2f3-00144feab49a.html#axzz15aBY4jXB
 アイルランドに対し、EU版IMFへの合意を迫る圧力が強まっている。同国の銀行システムに対する信頼が急速に低下している。アイルランドの銀行預金は減少しつつあるという。たとえば、アイリッシュ・ライフ&パーマネント銀行の法人預金は8月から9月にかけての数週間で全預金の11パーセントにあたる6億ユーロを引き出された。
 アイルランド中銀も同様の傾向が見られると報告を出している。金曜日にはアライド・アイリッシュ・バンクの第3Q決算が予定されているが、預金流出の証拠がみられるか、注目される。
 民間銀行同士のファンディングが難しくなっているのを受け、アイルランドの銀行はECBによる緊急流動性供給ファシリティに頼らざるをえなくなっている。アイルランドの銀行はついに、スペインやギリシャの銀行を抜いて、ECBからの流動性供給に最も依存することになった。
 ECBから受けることのできる流動性の上限をすでに超えてしまったため、アイルランド中央銀行が200億ユーロの臨時流動性供給を行わざるを得なくなっている事実も発覚した。
 アイルランドの救援交渉団は、800億ユーロの緊急融資と引き換えに、銀行資産の売却かより一層の歳出カットを求める可能性がある。 
 アイルランドの銀行が必要とする資本注入額は50億から200億ユーロと推計されている。
 アイルランド債券の投資家は心の準備ができている。

 アイルランド問題の続報。
 http://www.ft.com/cms/s/0/9c09aa1a-f2f3-11df-9514-00144feab49a.html#axzz15e4lXe6Z
 木曜日、アイルランド中銀の総裁が数百億ユーロの緊急ローンをEUとIMFに求める予定だ、と述べた。IMFのチームはアイルランド中銀と会合を開いた。
 IMFとEUの調査団のミッションは、アイルランド国内の主要行のバランスシートを精査することだ。週末には結論が出る見通し。この緊急資金は、銀行に対する資本注入という形で行われる。実際には使われることのないバッファーであり、アイルランド中銀側は一種の”見せ金”と強調している。
 また、FT紙に対し、今年の4月から預金流出が続いていることも認めた。
 ただ、緊急資金の金利はまだ決まっていないという。

 次いで、スペインの話題。
 http://www.ft.com/cms/s/0/00455066-f307-11df-9514-00144feab49a.html#axzz15e6POP2A
 スペイン政府は木曜日、36.5億ユーロの長期債を発行した。入札は順調で、アイルランドの財政危機はスペインには波及しなかった。
 ただ、発行金利は2ヶ月前より50ベーシス高かった。
 具体的には、25.9億ユーロの10年債を発行し、金利は4.615%。30年債は10.7億ユーロで、金利は5.488%だった。
 スペインの累積債務は、ユーロ圏の平均を十分下回っている。GDP比でイタリアの半分の水準だ。
 スペイン政府は歳出削減の努力を続けており、GDP比で11.1%だった09年の財政赤字を、今年は9.3%に落とし、年金制度の改革も進めるという。ただ、エコノミストヘッジファンドは、その実効性に疑問を投げかけている。
 
 マネーサプライより。
 http://blogs.ft.com/money-supply/2010/11/18/are-you-ready-for-5bn-more-spending-cuts/
 英国の財政再建はうまくいっているかのように見えるが、50億ポンドの増税か、歳出削減が必要になるという。