英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

スペインの格下げ

 今日は曇り。一週間が過ぎるのが早い早い。
 日経新聞、読売新聞は、福島瑞穂消費者・少子化担当相の罷免に関するニュースをトップに据えている。昨夜、テレビで鳩山首相の記者会見を流していたが、言葉が軽すぎて、政治家としては終わっている感じだ。

 最近気になっているのは、やはりiPad関連の動きだ。昨日、会社で実物を手にとってみたが、思ったより軽く、小さく思えた。事前にネットなどで意外と重い、という情報を聞いていたせいがあるかもしれない。平板な画像情報だけでなく、リンクや動画、検索機能など、電子書籍ベースでの情報の見せ方において、飛躍的な革新が起きるのだろう。

 マーケットは相変わらず不安定な状態が続いている。昨日はドイツ、香港、日本の株式が上昇。米国とUKは下落。
 フィッチがスペインの格付けをAAAからワンノッチ引き下げ、ダブルA+にしたことが伝わった(アウトルックはstable)。S&Pは先月、AAに引き下げている。スペイン中央銀行は銀行同士の合併を促し、不動産融資で窮境にある銀行もそうした動きに出ているようだ。前日の木曜日にスペインは、財政緊縮策を発表し、GDP見通しも引き下げたばかりだった。経済成長より財政緊縮策を優先させた格好だ。
 2012年のGDP成長率は当初の2.9%を2.5%に引き下げ。2013年は3.1%から2.7%に引き下げる。

 http://www.ft.com/cms/s/0/544faa68-6a17-11df-b268-00144feab49a.html
 http://online.wsj.com/article/SB10001424052748704596504575272641759918662.html?mod=WSJ_hps_LEFTWhatsNews

 格下げ自体はnegative newsだが、フィッチのレポート詳細をみると、スペイン財政の力強さも再確認できるようだ。アウトルックもなぜか(?)安定的。WSJによると、1)金融セクターの健全性、2)過去の公的金融のトラックレコード、3)厳しい財政緊縮策、がそのポイント。
 ただ、スペインの国内金融機関の再編はまだ進行中。労働市場改革も道半ばだ。債務のGDP比は07年に40%だったのが、2013年には78%に上昇する見通し。

 一方、FTのGillian Tettは、ギリシャ国債保有する投資家のヘアカットに関する不安感を伝えている。

 http://www.ft.com/cms/s/0/3e2c01ec-69a8-11df-8432-00144feab49a.html
 
 記事の骨子(超意訳)は、
 ・中国のSWFがギリシャ国債リストラクチャリングされたときのヘアカットについて気にしている。
 ・ヘアカット問題は、crucialな問題なのに、EUのリーダーたちは議論を避けている。
 ・ポルトガルやスペインを含む規模のEU支援パッケージが成立したが、永遠に延長されない限り、数年単位でギリシャ財政問題が解決されるとは思えない。
 ・つまり、現債権者はIMFEUに劣後し、結局債務リストラクチャリングされるのではないか、という疑念がある。
 ・そうなると、ヘアカットの大きさがいくらなのかが問題になる。
 ・最近のケースだと、投資家は、ウクライナは20%以下、ロシアとアルゼンチンは60%以上得られた。
 ・仮にギリシャのヘアカット率が50%だとすると、こうした国々の国債を持っている欧州銀行にとって、不愉快なインプリケーションを意味する。
 ・ドイツの金融機関のギリシャ国債エクスポージャーは500億ユーロある。フランスは750億ユーロ。スペイン、ポルトガル向けは、両国合計で2500億ユーロにのぼる。
 ・そういう事情から、各国リーダーはリストラクチャリング(が不可避だとしても、それ)への言及に及び腰なのだ。
 ・ヘッジファンド批判などが繰り返されるのも、こういう事情があるためで、本当の問題は銀行にある。
 ・解決の道筋は困難だ。ひとつの選択肢は、ただちにギリシャ債務のリストラを行い、独仏の銀行損失の穴を7500億ユーロを使って埋めることだ。
 ・しかし、このオプションをとると、ギリシャが市場に復帰することを困難にさせる。ギリシャの緊縮財政への政治的意思を駄目にしてしまう。
 ・このままの状態が続くと、債券市場やインタバンク市場を毒してしまう。

 インタバンクでは、Liborがこの3週間で初めて下落。米10年国債は8ベーシス下がって、3.29%。
 ユーロ圏の銀行のドルファンディングリスクが意識されている。いくつかの銀行はCPのロールーバーができないのではないか、と懸念されている。

 5月の取引は昨日で終わり。米国と英国は、来週月曜日、休日らしい。