英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

シュピーゲルのトリシェ

 穏やかな日曜日。久しぶりにゆっくり朝寝をする。天気は晴れ。昨夜のナイターテニスで、体が少々痛む。
 昨日、仕事で立川に行って、日曜日の日中、駅周辺がこんなに混雑しているのか、と驚く。ずっと以前行ったときより、駅全体が随分こぎれいになっている印象。

 ユーロ安が進行している。FXなんて手を出せないにしても、外貨預金でユーロを買ってみようかな、と思う。

 昨日読み損ねたのだが、FT紙に、IMFが先進国の公的債務(public debt)を警告している、との記事。財政再建のためには、理論上消費税(value added taxesもしくはexcise duties)を導入する必要があるが、それには低所得者への負担が重く、政治的にも議論を呼ぶ(contentious)という、ある意味当然のことが述べられている。
 では、日本の消費税導入論議はどうなるだろうか。消費税を上げるしか財政再建策はないかのような論調が底流にあるように思うが、政治的にどう反応するか分からない。意外と日本の有権者は消費税導入を仕方ないと思っているように思うのだが、どうだろうか。

 独誌シュピーゲルがECBのトリシェインタビューを掲載。非常に面白い。
 
 http://www.spiegel.de/international/europe/0,1518,694960-3,00.html
 
 ユーロゾーンはガバナンスにおいて「quantum leap」が必要だと主張している。
 インタビューの論点、発言のポイントは以下の通り。
 ・ECBは原則を曲げたのか否か
 ・5月7日にかけて、何が起きたのか。
  →国債スプレッド、CDSインターバンクレートが著しい緊張を示した
 ・ヘッジファンドなどの投機家が事態を悪化させたのか
 ・アジアの中央銀行がユーロへの信認を失っていること
 ・ドイツがギリシャ支援をためらう理由は?
 ・ECBの問題国国債買い入れについて。そして、ECBの決定において非常に珍しいことに、買い入れ決定にブンデスバンク総裁が反対票を入れたことについて
 ・国債買い入れによって量的緩和、QE(Quantitative Easing)に乗り出しているわけではないこと(トリシェが強調)
 ・中央銀行の独立性・・・今回の買い入れ決定に際し、各国政府がECBに圧力をかけて決めさせたように見える点
 ・ドイツ(ブンデスバンク)のインフレ警戒感の強さ
  Inflation is destructive for societies and democracy.(トリシェの言葉)
 ・インフレの財政赤字削減効果と財政再建の努力について
 ・ギリシャのような困難国がユーロを離脱するのを認めるか?

 悪い夢(nightmare)はみないのか、と挑発されて、「よく眠れる」と言ってみたり、中央銀行の独立性に疑問符を突きつけられて、「ridiculous!」と興奮してみたり。個性のにじみ出る、良いインタビューだ。
 中でも、国債購入の買い入れ決定とECBの独立性がポイント。 
 昨日の金融学会のパネルディスカッションで示された、中央銀行の非伝統的金融政策に関する整理に従うなら、ECBのバランスシートが拡大するなら量的緩和と言え、バランスシート規模をそのままに資産の中身をよりリスク性資産に切り替えるなら、信用緩和ということになる。トリシェが量的緩和でない、と言っているのは、バランスシートを拡大させないということなのだろうか。BS膨張がなく、国債を買い入れることは難しいと思われる。