英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

ホワイトハウスの権力争い

 ユーロの話題。中央銀行にとっては、良いニュースでされ、ストレートには伝わらない。ECBの7月の会合で、上昇するユーロ相場に対するはっきりとした関心が浮き彫りにされた。
 マーケットはユーロの急速な上昇は心配の種であるという明確なシグナルを発していた。今年に入り、ドルに対し11%上昇している。英国ポンドに対しては6・5%の上昇だ。
 ECBはもちろん、ユーロ高は良い理由によって上昇していると認識している。ユーロ圏における政治リスクが低下していること、成長見通しが良いこと、そして、米国の金利政策が再評価されていることなどだ。
 さらに重要なのは、ドラギ総裁が6月にポルトガルのシントラで行ったスピーチが再び注視されている。経済は自立的に回復基調にのっており、超金融緩和政策に依存する必要はない、というスピーチだ。
 https://www.wsj.com/articles/the-ecbs-good-news-problem-the-euro-1502978201
 バノン氏とコーン氏による、ホワイトハウス内部の権力争いが激化しているようだ。白人至上主義を擁護する派と穏健派とが、政策をめぐって対立している。
 木曜日にこの対立があらわになった。シャーロットビルにおける暴力に関するトランプ氏の発言を踏まえ、コーン氏が政権から去る計画を立てていると報道された。しかし、政権はそのような事実はないと否定せざるを得なかった。
 しかし、バノン氏とコーン氏の間の対立は長く続いている。しかし、シャーロットビルの事件は、両者の断層線を浮き彫りにした。どちらが勝利するのか、まだわからない。
 コーン氏はイバンカ氏やクシュナー氏と近く、一方のバノン氏は最近台頭しているスピーチライターのミラー氏と近い。
 とくに対立が激しくなっているのは、貿易に関する分野だ。バノン氏は選挙期間中の過激な約束を生かすべきだと主張している。
 https://www.ft.com/content/3955bb0a-8367-11e7-a4ce-15b2513cb3ff
 エコノミストの最新号はさらに辛辣だ。トランプ氏は大統領であることの意味が分かっていない、のだという。ひっくり返しや自尊心、言い逃れは大統領の資質ではない、と断じている。
 トランプ大統領を擁護する人は主に2つの点で擁護してきた。一つは彼はビジネスマンとして、国家の行き過ぎを是正できるというものだ。もう一つは、左翼寄りに、エリートたちに牛耳られている政治的なタブーを正すことができる、というものだ。
 しかし、最初からこの2点は願望に過ぎなかった。8月15日の記者会見で嘘であったことがわかった。「両方の側に責任がある」というが、結局、彼がどちらの側に立っているのか図らずも示している。
 トランプ氏は白人至上主義者ではない。ネオナチを繰り返し批判している。そうであったとしても、彼の今回の反応は米国人に恐怖のメッセージを与えた。合衆国の救世主であるどころか、大統領として政治的には不向きであり、道徳的に欠けるところのある、感情的に執務すべきでない人物である。
 まず、不向きである理由について議論しよう。
 https://www.economist.com/news/leaders/21726696-u-turns-self-regard-and-equivocation-are-not-what-it-takes-donald-trump-has-no-grasp-what-it