英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

雇用は増えた。されど賃金は

 晴れ。暑い。北陸と東北が梅雨明けと発表された。というか、この両地域はまだ梅雨明けしていなかったのね。
 7月の雇用統計が昨日発表された。新規雇用者数は16・2万人増えた。しかし、雇用が増えた職種は、レストランや小売りなど、自給20ドル以下の低賃金産業だった。米国経済は回復しつつあるとはいえ、長く、低調な回復であることが改めて確認された。
 失業率は7・4%に低下した。この水準は2008年12月以来、最低の数値である。今年、米国経済は毎月19・2万人の新規雇用者を増やしてきた。力強いペースではないが、人口の成長に追いつくには十分な水準だ。しかし、失業率の低下は、低賃金労働の増加に支えられている一面があることにも注意が必要だ。また、労働力人口から脱落し、非労働力人口に移行している労働力があることにも着目する必要がある。
 非労働力人口に移った人口は660万人ほどいると推計されている。
 http://online.wsj.com/article/SB10001424127887324635904578643654030630378.html?mod=WSJ_hp_LEFTWhatsNewsCollection
 CalculatedRiskも同様の評価をくだしている。堅実な回復ぶりだが、力強さには欠ける、と。失業率が7・4%に大きく低下した一因は、労働参加率が低下したことによるもので、それは良いニュースではない、と指摘している。
 http://www.calculatedriskblog.com/2013/08/employment-report-steady-but-slow.html
 イエレン副議長が、バーナンキ議長の後継候補に挙がっていることについて、クルーグマン教授が性差別主義の観点から論じている。いわく、2種類の性差別主義的な反イエレンキャンペーンが行われている、と。
 大衆紙のニューヨークサンが、「The Female Dollar」と題する社説を掲載した。もし、イエレン副議長が議長になれば、インフレ志向的な金融政策がとられ、破滅的な結果をもたらす、という主張だ。実際のインフレ率は50年間でもっとも低い水準にあるにも関わらずだ。問題は、大半の人が真面目に受け止めることもないであろう、こうした主張が、WSJのようなクオリティペーパーにも掲載されたことだ。
 また、もっと陰湿な反イエレンキャンペーンもある。それはたいていオフレコベースで繰り返される代物で、イエレン副議長は真摯さに欠ける、という主張である。
 そして、この両方の主張の致命的な点は、いずれも誤った経済分析を前提にしていることにある。もちろん、クルーグマン教授は、イエレン副議長が次期議長にふさわしい唯一の候補だと言っているわけではない。
 http://economistsview.typepad.com/economistsview/2013/08/paul-krugman-sex-money-and-gravitas.html