英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

米雇用統計

 窓から入る風が涼しい。日中は30度を越える猛暑日の予想だが、朝夕の風は気持ちよくなってきた。83回目の更新。

 昨日、一昨日とお粗末な更新だったので、補足も踏まえて更新。
 日経新聞の一面トップは、三菱東京UF銀行と三井住友銀行日本政策投資銀行による企業再生ファンドの立ち上げ、という話題。各行ともすでに関連ファンドを保有しており、記事だけでは、新ファンドの意義が分からない。種銭を自由に出せるというなら、銀行本体によるエクイティ提供と何が異なるのだろうか。

 マーケット概況から。
 http://www.ft.com/cms/s/0/c38686da-b72a-11df-839a-00144feabdc0.html
 昨日は各株式市場とも上昇。米国の予想より良かった雇用統計に反応した。米国経済はリセッションを避けられるのではないかという期待が増しつつある。

 その米国の雇用関連レポートの記事。
 http://www.ft.com/cms/s/0/3443bfec-b6df-11df-b3dd-00144feabdc0.html
 二番底懸念は薄らいでいる。民間部門は過去3ヶ月で23万5000人の雇用を生み出した。8月は予測より多い6万7000人の雇用増加となった。ただ、雇用の創出力は人口増加や経済回復に見合うほど十分強くない。つまり、失業率はまだ高水準であるということだ。オバマ政権、民主党にとっては、11月の中間選挙で負ける可能性がある。失業率は9.6%に上昇。11万4000人の一時雇用者が解雇され、総雇用者数は5万4000人減少した。そして、50万人以上が労働市場に入ってきた。
 オバマ政権は刺激策を提案する予定だが、11月の中間選挙前に、議会を通る見通しはない。
 
 バーナンキ議長の議会証言。リーマン破綻について言及している。
 http://www.ft.com/cms/s/0/be2bb618-b69b-11df-86ca-00144feabdc0.html
 リーマン破綻を救う手段を中央銀行が持っていないことに後悔している、と述べた。FCICでの証言。その直前に、Fuld氏が、Fedはリーマンを救うべきだったし、救うこともできた、と証言したことを踏まえての発言だ。
 AIGとリーマンとの違いについても、質されている。その答えは、救うだけの価値があったし、Fedが供給するローンの担保も十分だった、というものだ。

 マネーサプライより。アトランタ連銀のロックハート総裁が注目すべきスピーチを行ったようだ。
 http://blogs.ft.com/money-supply/2010/09/03/fed-lockhart-speaks-on-the-outlook/
 2010年は緩やかな回復基調にあるが、それは政策効果に支えられたものだ。ロックハート総裁自身の経済に対する基本的な見方は変わっていないが、リスク認識は多少下方修正された。8月のFOMCの決定は、追加量的緩和の前触れ、という意味ではない。もちろん、Fedのバランスシートを縮小させる政策へ回帰する前触れでもない。デフレや二番底について、強調され過ぎである。最近の経済の弱まりは、政府主導の回復から民間主導の回復にシフトする過程での不均衡な移行過程で起こることである。緩やかなペースではあるが、経済は回復途上にある。

 ECB理事会について。理事会決定がコンセンサスを得られた、とトリシェが言っていることについて、「アングロサクソン流では意味が違う。理事会内に対立がある」と噛み付いている。
 http://blogs.ft.com/money-supply/2010/09/03/ecb-consensus-decision-making-a-guide/
 
 Calculated Riskより。雇用統計について言及がある。
 http://www.calculatedriskblog.com/2010/09/employment-population-ratio-part-time.html
 景気後退期ごとに、ピークの雇用数と比べて、どれくらい失業者が増減しているかの割合を示したものだ。これをみると、失業は底入れし、回復基調にあることが分かる。
 成年人口に対する雇用者の割合も興味深い。7月は58.4%、8月は58.5%。雇用の見通しが良くなってきたので、労働市場に戻ってくる人が増え、これが失業率を押し上げている。
 経済的理由でパートタイム労働も増えている。8月はその数890万人。この増加は良いニュースではない。
 27ヶ月以上失業中の労働者の数も増えている。これは労働力総数の4.1%に相当する。
 これらの雇用関連統計をまとめると、強弱両方の材料が混在状態にある。

 同じくCRから久しぶりにギリシャ関連の話題。
 http://www.calculatedriskblog.com/2010/09/greece-default-probabilities-before-and.html
 今年4月30日と5月11日、9月1日の3日間で、ギリシャのデフォルトの可能性の推移をみたものだ。2年以内にデフォルトすると考える市場参加者の割合は、救済スキームのまとまる前の4月30日より低いが、より長期でみると、4月時点よりギリシャがデフォルトすると予想する割合が高まっている。