英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

ポルトガルのmagic number

 今日の夜(というより、明日未明)は、いよいよワールドカップサッカーのデンマーク戦。この時間、オフィス界隈は深夜の観戦に備えて、静まりかえっているような感じがする。

 また、久し振りの更新だ。参院選が今日公示され、長い長い選挙戦も始まった。

 FT電子版(アジア版)トップは、オーストラリアのラッド首相辞任のニュース。後任は、初の女性首相となるギラード氏。
 http://www.ft.com/cms/s/0/e3291436-7f6b-11df-9973-00144feabdc0.html
 勉強不足で知らなかったのだが、資源産業に対する超過利潤税(superprfits tax)に対する業界からの猛烈な反対のせいで、ラッド首相は辞任に追い込まれたそうだ。
 ラッド首相といえば、中国語が話せる首相として著名。2007年の選挙後、2年間は、オーストラリア史上もっとも人気のあった首相だという。しかし、彼の専制的なリーダーシップなどがあだになったようだ。

 ラッド政権は中道左派政権で、今回の政変が政権交代、というわけではない。しかし、経済危機を受け、あちこちで政変が起きている。世界の政治潮流は金融危機や世界的な景気低迷を受け、右傾化しているような気がしてならない。一度調べてみたいテーマだ。
 
 FTのUK版は、ドイツの財政緊縮策やギリシャの続報が引き続き採り上げている。
 http://www.ft.com/cms/s/0/d7ad0226-7f74-11df-9973-00144feabdc0.html
 ユーロは英ポンドに対して下落。ギリシャ国債に対する保証料は、また記録更新して上昇した。
 一方、英ポンドはドルに対して上昇。政府の緊縮財政やBOEのhawkishな議事録公表が後押しした。
 財政に対する懸念から、株価は下落した。
 ドルは円に対して下落した。FRBの議事録で、経済回復に対する警戒的なトーンが打ち出されたことが嫌気された。

 ここ数日更新をさぼっていたので、やや古い記事も。
 http://www.ft.com/cms/s/0/fdf80714-7ec0-11df-ac9b-00144feabdc0.html
 ポルトガルの銀行によるECBからの資金調達は先月2倍になったという記事。4月に177億ユーロだったのがm、5月に358億ユーロに倍増した。しかも、かなり高金利の調達を強いられている。5年債の金利は4.657%。例の支援パッケージファンドから借りるときの金利が5%で、「magic number」に近づいている、というわけだ。
 本当に国家財政が破綻しかけることが、国民の経済生活にどれほどのダメージを与えるか、想像するだに恐ろしい。

 ドイツについては、こんな記事。
 http://www.ft.com/cms/s/0/504fa87a-7eec-11df-8398-00144feabdc0.html
 ショーブル財務相が、トロントG20サミットを前に、同国の財政緊縮策が経済回復を妨げる、という米国の批判をかわそうとしている、という内容。ジョージ・ソロスによるドイツの緊縮財政批判への反論の意味もある。
 http://www.ft.com/cms/s/0/88ded464-7ee6-11df-8398-00144feabdc0.html
 ソロスは、「ドイツがプロシクリカルな政策をとることで、EUを危険にさらそうとしている」と、ドイツで痛烈に批判したようだ。これは「政治家対マーケット」の対立にたとえられている。
 ソロスは、ドイツの政策は金融市場に不安定をもたらす、とまで言っている。

 同種の議論は、クルーグマンも言及している。
 http://www.nytimes.com/2010/06/18/opinion/18krugman.html?ref=paulkrugman
 クルーグマンは、財政再建優先派を「deficit hawks」と呼んで、批判。ワイマール共和国のドイツの事例を引き出している。