英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

イタリアとギリシャ、金利急騰の重み

 10日はCPI発表という大きなニュースがあった。50ベーシスの利上げが大きく遠のいた。2年債の利回りは上昇した。しかし、これほどショックを与えたインフレ指標はない。

 円は下落を続けている。3月初旬以降としては14パーセントも下落した。米国はもはやはっきりと金融政策引き締めの姿勢を鮮明にし、日本は同様にそうではない。スペキュレーションとしては、円はさらに下落するとみられている。

 10日の正午に円は134円34銭をつけた。これは2002年の金融危機の混乱により、ドル円が135円15銭をつけたが、それに迫る水準である。1998年のアジア通貨危機の際には145円をつけた。

 円は日米の債券金利の差をついて取引されている。その結果、資本フローとキャリートレードを引き起こしつつある。この差は米国のインフレ率と日銀のYCCによって増大している。

 米国の10年債利回りはピークである3.75%に向かって上昇しつつある。それを前提にすると、米国と日本の利回り差はさらに拡大しそうだ。もし日銀がYCCの枠組みを修正し、日本国債の利回りが0.5%まで上昇したとしても、だ。われわれの予想では円は140円を超えて円安になると見込んでいる。

 問題はこうしたトレンドが続くとして、そうやって金を儲けるかだ。こうした場合、円は売り、となる。株式市場的には輸出業者は円安で利益を得ることになる。日銀の黒田総裁もこうした考えを持っているように見受けられる。

 企業への聞き取り調査によると、平均で1ドル110円という水準で予算を組んでいる。つまり、マーケットはこれ以上の円安になっており、企業は棚ぼたの利益を得るわけだ。しかし、小売り業者はこうした環境においては敗者となり、自動車メーカーは勝者である。

 しかし、詳細にみると、輸出業者だからといって全社が勝者というわけではない。もう1つのポイントは、為替相場が政治的な問題になりつつあることだ。実際、黒田総裁は円安が家計に与える影響を軽視し、発言の撤回に追い込まれた。

 別の話題として、Fedが現在の量的緩和をどのように考えているのか、という論点がある。

 Fedが最近公表したリサーチペーパーによると、2024年の第3四半期末までに終了する2.1兆ドルの資産削減は、56ベーシスの利上げに相当するという。

 https://www.ft.com/content/86ef76c4-136f-4cfb-8a04-3314975b67b1

 イタリアとギリシャ国債利回りが急騰している。ユーロ圏危機再来を思わせる動きである。

 ECBが急にタカ派的スタンスを取り始め、国債の売りをひきおこsちえいる。

 金曜日のイタリアとギリシャの借り入れコストが数年ぶりの高水準を記録した。ECBのタカ派的スタンスに投資家が驚いた結果である。その結果、欧州でもっとも債務の大きい2カ国の国債を揺るがしている。

 イタリアの10年国債の利回りは2014年以来となる、3.75%をつけた。ギリシャのそれは4.28%である。ECBは木曜日に債券買取プログラムを終了し、2011年以来となる利上げを開始すると公表した。同時に今年後半、よりアグレッシブに金利を引き上げていくことを示唆した。

 これは記録的なインフレが再び巻き起こり、ECBの支援なしに債務の規模の大きいユーロ圏加盟国を支えることはできないのではないか、という投資家の関心を巻き起こした。

 スペインとポルトガルの債務も同様に打撃を受けている。売りはさらに欧州の銀行株に波及し、それは国債保有残高の多い銀行に集中している。

 https://www.ft.com/content/1a699b10-7ed4-40b4-b0f3-1eb716e1f8d2