曇り。
株式に投資するヘッジファンドが歴史的な苦境に苦しんでいる。2022年に入って5カ月間はこの調子である。
マーケットの条件が大きく変化しつつある中、ヘッジファンドはそれに順応するのに苦戦している。
およそ1.2兆ドルの資産規模があると言われる株式ヘッジファンド。2022年1~5月の間の平均的な成績は8パーセントの損失だった。
過去32年間を振り返ると、過去の危機時よりも損失が大きい。2022年の残りの期間で損失を回復するという非常に大きな任務がファンドには課せられている。2020年の5カ月間、株式市場は大きく下落したが、この時の損失は5.8%だった。
あるニューヨークに拠点を置くスカイブリッジ・キャピタルの創業者は2008年の時よりも悪い、と感じている。
配当込みでS&P500指数の米国株は12.8%の下落だったのに比べると、株式ヘッジファンドの成績は悪くないとも言える。こうした大きな損失は自己実現的なものであるとも言える。
大手ファンドが損失を計上し、顧客は返金を求めると、ファンドは成績が良い保有株式も売らざるを得なくなる。こうしたことが市場の変動と下落を深めることになっている。
株式ヘッジファンドの苦境は、4兆ドルあると言われるヘッジファンド産業全体の中で非常な対照をなしている。市場のトレンドに投資するコンピュータによる投資手法やマクロマネージャーと呼ばれる手法は今年好成績を上げている。
しかし、株式投資についてはどの手法も苦戦している。株式戦略の苦戦は中央銀行による利上げとインフレの影響を示唆している。
苦戦しているファンドのうち、著名なのがいわゆるタイガーマネージメント出身者によるファンドだ。コールマン氏のファンドは今年実に52%もの損失を被ったと言われている。
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