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次の新興国債務危機

 快晴。

 次にやってくる新興国債務危機はなぜ厄介なのか。大規模な投資ファンドは、デフォルトに陥る新興国に対して強硬な姿勢をとりそうだ。

 たとえば、サンゴ礁に囲まれたモルジブ。この高級リゾート地も、コロナウイルスの影響を受け、モルジブ経済は大きな打撃を受けている。IMFは8%のGDP落ち込みを予想している。モルジブ財政は破綻に追い込まれるリスクがある。

 ザンビアエクアドルルワンダなどもここ数週間、債務の支払いに苦闘していると公表している。レバノンはすでに債務リストラの過程にある。そして、コロナウイルスの前から債務問題に苦しんでいたアルゼンチンは、1816年以来、9回目のデフォルトに向かおうとしている。

 そして、投資家らは多くの新興国が同様の道のりをたどるとみている。

 IMFはすでにモルジブに対し、2900万ドルを貸し出しているが、観光産業の喪失が同国経済にとって痛手となっている。そして、追加の金融支援策が必要とされている。

 ここ数年、新興国債務危機がくすぶっている。過去10年で、最後のフロンティアとされる国々が債券市場にデビューした。2005年に1兆ドルに満たなかった債務残高は、直近では3.2兆ドルまで拡大した。これはフロンティア市場全体のGDPの114%に相当する規模だ。新興国市場全体では71兆ドルの債務がある。

 新興国市場から資金が引き上げる規模とタイミングは2008年以上のインパクトを持つ可能性もある。G20各国はすでに、76の新興国に対し、ローンの支払いを一時猶予することを決めた。民間金融機関にも同様の措置を求めている。しかし、これは良い策ではなく、逆に資金繰りや債務リストラの停滞につながる恐れもある。

 しかし、来るべき債務危機を乗り越える道のりは以前よりも厳しそうだ。というのも、債権者は大規模な債券ファンド化しているからだ。彼らは債務リストラに応じることに消極的なのだ。長い過程を要する債務リストラを嫌がり、レピュテーションリスクも気にする。

 過去であれば、こうした領分は「ハゲタカファンド」の活躍する場であった。彼らの基本的な戦略は、ひたすら拒否することである。国債のリストラは普通、古い債務を新しい債務と交換することだ。それは投資家にとって悪い条件変更を意味し、より低い金利とより長い返済プロセスを意味する。

 ハゲタカファンドはこうした交渉を拒否する。

 https://www.ft.com/content/f7157356-e773-47c4-b05d-8624a5ccfd03