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トランプ大統領、イランを脅迫する

 晴れ。

 トランプ大統領はイランに対し、もし報復攻撃をするなら、米軍が特定している52の標的を攻撃すると脅した。イランではソレイマニ氏の死を悼み、数万人もの人々が集まった。

 トランプ政権はソレイマニ氏の殺害はこの地域のアメリカ人に差し迫った脅威を挫折させるためだと主張している。同時に、同盟国に対し、戦争の引き金を引くつもりはないことを説得する努力をするとしている。

 しかし、イランの最高指導者ハメネイ師は、すでにタフな報復を指示し、この地域の政権は暴力の過激化を恐れている。民主党は一方、11月の大統領選に向けてトランプ氏が再選を狙った動きだと批判している。

 トランプ氏は土曜日の夜、ツイッターで52のイランの施設が標的になっていると明らかにした。トランプ氏はすでに5000人近い特別部隊を現地に送りこんだ。土曜日には、軍事組織が米国人の住むイラクの基地がロケット弾で攻撃された。

 トランプ氏は1979年のイラン人質事件をほのめかしている。当時、52人の米国人外交官と民間人が444日間にわたってイラン人グループによって人質になった。この事件が現在も、政権幹部の記憶の中に深く刻み込まれているという。

 先週、バグダードの米国大使館が攻撃されたことにより、この1979年の事件の記憶がよみがえった。この危機により、当時のカーター大統領の支持率が大きく落ち込んだ。そして、1980年の選挙で地滑り的な敗北を喫した。

 一方、イラクの治安部隊幹部は政府系メディアに対し、多くのロケット弾がバグダードのいわゆるグリーンゾーンと呼ばれる地域に落下した、と明かした。グリーンゾーンは米国大使館や多くのイラク公的施設が集積する要塞エリアであり、アメリカ軍隊が駐留している地域にも近い。

 ソレイマニ氏の葬儀は4日間にわたって行われるが、これほど長く続く葬儀は1989年のホメイニ氏以来のことだ。

 イランの革命防衛隊のトップ司令官は土曜日、イランは戦略的な報復を採用し、アメリカのこの地域におけるプレゼンスを終結させると述べた。

 https://www.ft.com/content/7c49646a-2f28-11ea-9703-eea0cae3f0de

 ソレイマニ氏の死に対する抗議の声が高まっている。

 トランプ大統領はもっとも過激な手段を採用した。ドローン攻撃が将来の攻撃を防止するために有効だとされるが、政権幹部の中には攻撃の合理性に懐疑的な声もあった。

 イラクにおける米国大使館の攻撃の反応に対し、トランプ大統領は提示されたメニューの中でもっとも過激な手段を選んだ。

 政権幹部らはトランプ氏がソレイマニ氏を殺害する選択をするとは思っていなかった。2001年の9・11テロ以降、ペンタゴンの幹部らは時の大統領に対し、たびたび、選択しそうもない選択肢を提示してきた。

 シリアやイラクレバノンアメリカの大使館や軍事施設への脅威が高まっているという情報機関の新しい情報を受け、政権内で軍事攻撃について議論があった。それにも関わらず、トランプ大統領は今回の決定をくだした。

 統合参謀本部の議長は、明確で、はっきりした脅威があるという情報をもとに判断した、と述べたが、政権内部にはこの判断に疑問を呈する声もあがる。ソレイマニ氏の行動は、通常のビジネスに関する旅行であった、というのだ。

 つまり、情報機関の情報は薄い情報であり、ソレイマニ氏を攻撃するのは差し迫ったことではないという。 

 米国政権内部では、ポンペオ国務長官とペンス副大統領がもっともタカ派的な代表人物だ。

 https://www.nytimes.com/2020/01/04/us/politics/trump-suleimani.html