曇り。
エコノミストより。トランプという大量破壊兵器が展開されているという皮肉。
トランプ氏がオーバルオフィスに着任した時、彼はアメリカの強さを回復させると約束した。彼のやり方は、経済的なツールをすべて武器に帰ることであった。
今やルールや同盟国とは関係なしに、超大国としての押し進む驚くべき力を目にしている。5月30日に大統領は、移民の列を前にメキシコに関税をかけると脅かした。マーケットは混乱し、メキシコの派遣団はワシントンに平和のうちに解決するよう駆け込んだ。その翌日、インドに対する特恵的な貿易ルールが取りやめとなった。いつもは男性的なインド政府は今回、アメリカと戦うことをやめた。
中国も関税の引き下げに間もなく直面する。そして、ファーウェイはアメリカの部品メーカーから切り離される。中国の独裁的な首脳陣らは、6月2日に対話と相談を模索すると主張した。イランに対するより厳しい禁輸措置は欧州の反対に遭っているが、経済に打撃を与え続けている。
トランプ大統領はこうした情景を満足げに眺めているに違いない。もはや誰もアメリカを当然の存在とみなさなくなった。アメリカの敵や友人は、国家の利益を守るために経済的な武器をいつでも発動される準備があるとみなさなければならない。ポーカーのような瀬戸際戦略を展開し、世界経済にとって中核となる自由な財やデータ、アイデアの流通が脅かされようとしている。
しかし、そのことはアメリカにとって最も価値ある資産である、正統性という資産を棄損しつつある。
アメリカはデータ送信やベンチャーキャピタル、電話システム、大学、ファンドマネジメントなどにおいて、50%以上を握っている。およそ88%の為替取引がドルである。ビザカードが普通に使われ、ドルで輸出入が決済され、クアルコムのチップが使われる。外国人がこれらアメリカ製品を受け入れるのは、それが便利だからだ。外国人はゲームのルールを設定していないが、アメリカの市場にアクセスし、しかもアメリカ企業と平等な取り扱いを受けている。
しかし、トランプ氏とそのアドバイザーらは、ラストベルト地帯やアメリカの貿易赤字という形で世界の秩序はアメリカをダメにしていると主張している。
まず、経済的な妥協を引きだす手段として関税を使う代わりに、米国の貿易相手国と不安定な関係を作り出すために関税が利用されている。今回のメキシコ関税は貿易とは何の関係もない。