英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

イタリアとスペインの道行き

 晴れ。梅雨入り間近というのに、連日好天が続く。でも、週半ばから崩れそうだ。
 金融危機後、スペインとイタリアの道行は大きく異なった。何がこの2つの国の明暗を分けたのだろうか。イタリアはユーロ離脱をもて遊び、スペインはそういうことをしなかった。スペインはユーロ危機において、イタリアよりも重い苦しみを負ったにもかかわらず、スペインの主要政党はユーロ圏にとどまることを約束している。
 イタリアとスペインで先週、新しい政権が発足した。しかし、イタリアの政権交代がマーケットをローラーコースター状態にしたのに対し、スペインのそれはあくびをもって迎えられた。その理由は、2か国が異なる経済の道行きをたどり、ユーロへの態度も異なるからだ。
 こうした道行きは6年前には予想すらできなかった。スペインはイタリアよりも重症だったが、経済をより改革し、力強い成長を謳歌している。スペインのGDPは危機前のピークを越えている。
 イタリアもスペインも高いインフレ率と国際的な輸出競争力を保つため通貨安の歴史を持っている。ユーロに加盟後、こうしたペナルティがなくなり、債券金利はドイツと同じレベルまで下がった。
 スペインはアイルランドのように、住宅バブルが起き、ドイツから大量の資金が流入した。経常収支赤字も大きく膨らんだ。
 スペインはラホイ首相のもと、労働市場の自由化などの改革を進めた。スペイン経済が回復したのは、ラホイ首相の改革が成功したからなのか、それとも賃金や物価が下落し、スペイン経済の競争力を高めたのか、議論がある。
 https://www.wsj.com/articles/why-italy-is-flirting-with-euro-exit-and-spain-isnt-1528040526
 ECBの債券買取がイタリア問題に揺れている。買い取り債券に占めるイタリア国債の割合が低下し、そのことについて、イタリアの新政権から批判を受けているのだ。
 ECBは5月に36億ユーロのイタリア国債を購入した。この金額は3月や1月と比べても大きいが、ネット購入額の比率でみると、小さい。ECBはこうした購入額の減少は、イタリアの政治イベントとは無関係であると主張している。純粋に実務的問題であるというのだ。
 しかし、ECBから経済をより改革せよと圧力を受けているイタリア政府からすると、穏やかなならぬ話である。
 https://www.ft.com/content/8a688786-67f8-11e8-8cf3-0c230fa67aec