英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

銀行を廃止せよ〜スイス版シカゴプラン

 晴れ。気持ちの良い週末。
 スイスで実にユニークな国民投票が行われる。我々が知っているような銀行を廃止せよ、という主張である。
 リーマンブラザーズが倒産してから10年が経過した。しかし、世界は依然として金融危機が起きた原因をめぐって議論を続けている。そしてそれはマネーそのものの意味をめぐる論争でもある。スイスではその議論は国民投票という形で発生しており、それは6月10日に国民投票される。有権者らは危機の根っこにある根源的な問いを考えるべく、問われている。マネーとは何か。誰が創造し、どのように安全にするべきか。そして、銀行の信用創造機能をどこまで制限するべきか、という問いでもある。
 もしある人が銀行から融資を受ければ、その時点で信用創造がなされていることになる。そしてそれは世界中、毎日、銀行が行っている類の行為でもある。
 しかし、スイスの国民投票がもし通れば、すべての信用創造はスイスの中央銀行が直接行うことになる。しかし、それは理論上は健全な考えだが、実際に実行することは難しい、という反対意見がある。
 この主張は英語でいうと、「ソブリン・マネー」という名前の市民団体が発案したものだ。お金は債務であり、信用から切り離されたお金が、経済をより安定した状態に導く、と主張している。
 同様のアイデアは、1930年代に米国で生まれている。大恐慌のさなかに、米国のエコノミストの集団が「シカゴプラン」として知られる銀行改革案を発表した。これは、すべての融資は、中央銀行の創造するマネーの裏付けが必要だ、という内容だ。しかし、この考えが採用されることはなかった。
 しかし、2008年の金融危機後、英国やアイスランドでこの考えを支持する運動が起きた。
 この考えの難点の一つは、中央銀行が民間銀行に代わって、どの人にローンをつけ、どの人のローンを拒否するか、決めなければならないことだ。さらに、より効果的な反論は、スイス経済は、このような改革をしなくても崩壊しておらず、相当うまくいっている、という反論である。
 https://www.wsj.com/articles/a-vote-to-upend-banking-as-we-know-it-1527876030
 銀行やブローカーらは、手数料の劇的な減少に苦しめられている。
 欧州の投資銀行やブローカーらは、アセットマネージャーらが彼らに支払う手数料の劇的な減少に苦しめられている。Mifid2といわれる新しいルールが最近導入されたが、その影響が市場をどれほど揺さぶっているかを示す証拠の一つである。
 https://www.ft.com/content/5c32d1c8-658c-11e8-90c2-9563a0613e56