英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

なぜドル安が進むのか

 米国でトランプ政権が誕生し、その経済政策からすると、ドル高が進行するはずだった。しかし、その反対のドル安が進行しているのはなぜか。それは、ユーロとドルの相対的魅力の違いに起因するのだという。
 ユーロに対するドル安の進行は、2017年初めから起きている。それは市場コメンテーターや中央銀行、金融機関からすると、困惑させる現象である。トランプ大統領の選挙後、インフラ投資や税制改革、規制緩和などからなる新政権の経済政策によりドル高が進むと広く一般的に予想されていた。しかし、実際に起きたことは正反対のことである。ドルの国際経済における役割の重要性にかんがみ、これが本稿の主要関心事である。
 この予期せざるドルの動きを説明するのは、ユーロとの相場なのか。本稿では2つの金利スプレッドの変化が相場の動きを説明すると考えている。ユーロドル相場は特に予測が難しい。
 トランプ当選後、米国の金利は上昇した。経済政策により経済は成長し、インフレも加速すると予想されたからだ。その結果、ドイツと米国の10年金利差はマイナス1・76%からマイナス1・95パーセントに広がった。11月にはこれが2・24パーセントまで広がった。しかし、実際は金利差とユーロドル相場は正反対に動いた。
 これには2つの要素が役割を果たしたとみられる。一つは、トランプ氏が当初期待されていたほど素早く経済プログラムを公表しなかったことだ。2つめは、ユーロ圏の経済成長が予想されたよりも力強く、政治的なセンチメントが3月のオランダ総選挙に向けて改善したことだ。
 https://voxeu.org/article/dollar-euro-exchange-rate-2016-2018