英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

減税は雇用を増やすのか

 好天。涼しくて、秋のような天気である。
 北朝鮮は今度は発展型の水爆を開発に成功したという。ICBMミサイルに搭載しているところをキム主席が視察している写真が公表された。
 https://www.wsj.com/articles/north-korea-says-it-has-developed-advanced-hydrogen-bomb-1504394440
 法人減税は雇用増加を約束するのだろうか。NYTより。それは神話である、としている。
 ATTのトップが5月にCNBCのインタビューに答え、法人税が35%から20%に引き下げられれば、我々は米国で投資を増やす、と答えた。10億ドルを減税すれば、7000人分の雇用が増えるとATTのステフェンソン社長はいう。法人税率と雇用の関係は非常に緊密なのだと説明している。
 議会が法案化をこの秋に準備しているが、法人税をほとんど支払っていない企業の幹部の主張が検証されることになる。
 税と経済政策研究所によると、ATTの実効税率は2008年から15年の期間中、わずか8パーセントに過ぎなかった。節税努力が効いている。
 このようにたいへんな節税努力を実現しているにも関わらず、この会社の雇用の規模は縮小している。毎年数千人を雇用しているのに、08年から16年にかけて、8万人の従業員を減らした。
 一方、340億ドルの自社株買いを行っている。企業価値を人工的に高めるためだ。しかし、この資金は研究開発や雇用に回すこともできた。
 企業が自社株買いを行う理由はさまざまだが、株価が上がれば、企業幹部たちは株式で報酬を受け取っているため、その報酬の価値が上昇する。2008年以降、ステフェンソン氏はストックオプションなどで得た株式を1億2400万ドル分現金に替えた。
 多くの企業も同じようなことが該当し、減税は経営幹部を潤すが、新たな雇用を生むことはない。
 もしトランプ氏や共和党が進める減税が行われると、雇用が創出されるというのだが、われわれが92の企業を調べたところによると、その結果は反対のことが起きている。過去9年間の中間的な雇用創出率はマイナスの1%だった。
 雇用をカットした企業の幹部の報酬は昨年、平均して1500万ドルだった。S&P500の平均は1300万ドルである。
 つまり、今後議会で議論すべきは、大企業の減税ではなく、富裕な個人や大企業の株式による報酬支払いに対する課税のあり方であるべきである。
 米国の多国籍企業は海外オフショアに2・6兆ドルの利益を保有しているとされる。そして、この資金が米国に還流すれば、新たに7500億ドルの連邦税収が得られるという。
 https://www.nytimes.com/2017/08/30/opinion/corporate-tax-cuts-jobs.html?partner=rss&emc=rss&_r=0