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最適な税制改革案とは

 トランプ政権の税制改革案について。マンキュー教授のコメントである。
 税制改革の論点について、わかりやすくまとめている。
 税制改革の詳細は、人々の心をときめかせないかもしれないが、長い目でみると、非常に重要なことである。その意味で今後12ヶ月間というのは、死活的に重要な時期と言える。
 税制改革案は、議会のアジェンダとなっている。とくに法人課税は重要である。政府がどのように財源を調達し、企業の意思決定を変えるからだ。
 現在、法人税制改革を進めようというモチベーションになっているのは、米国の法人税率が世界でもっとも高いということだ。その結果、稼いだお金を海外の子会社に貯めておこうという動きにつながり、海外の低税率国に企業が逃げてしまうことになっている。
 トランプ政権の経済アドバイザーのひとりである、ハセット氏の研究によると、米国の高い税率が歪みを引き起こしており、減税によってむしろ税収が増える可能性を示唆している。
 また、別の研究では、高い税率が製造業で働く労働者の賃金を押し下げている可能性を示唆している。資本は世界中を動き回ることができるが、労働はそうではない。
 しかし、議会における議論は税率についての単純な議論の域を出ない。ライアン下院議長らが示した税制改革案「ベターウェイ」は、法人税の性質について根本的な変更を加えようというものだった。これは正しい方向であり、4つのポイントがある。
 一つは、世界課税や地域課税か、という対立だ。米国は前者の原則を採用している。税制改革案は、米国の税制原則を世界標準に直そうとしている。
 2つめは、所得課税か、消費課税か。多くの経済学者は課税は所得ではなく、消費に課税するほうが望ましいとしている。それは、消費課税のほうが貯蓄や投資に悪い影響を与えず、経済成長にとって好ましいからだ。さらに、消費課税のほうがより公平だからだ。
 3つめは、源泉地か仕向け地か。その結果、米国への輸入には課税し、輸出は免税される。これがいわゆる国境調整という仕組みだ。欧州における付加価値税の多くは類似の仕組みをとっている。
 輸入に商売を依存している企業にダメージとなるという批判があるが、それは間違っている。輸入が減ってドルの供給も減り、その結果ドル高が進行するので、より安価に輸入できるようになるからだ。
 4つめの論点は、債務か資本か。
 https://www.nytimes.com/2017/04/21/upshot/tax-code-business.html?partner=rss&emc=rss&_r=0