英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

トランプとプーチン

 エコノミストより。
 トランプ氏はプーチン大統領と大掛かりな取引をしようと考えている。それは非常に恐ろしいアイデアであると警告している。
 ジョージ・ブッシュ大統領はプーチン氏の目を覗き込み、彼の考えていることがわかると考えた。しかし、それは間違っていた。オバマ大統領はロシアとの関係を解消しようと試みたが、結局、大統領の任期終盤にロシアはクリミアを併合し、シリアにおける米国の権力空白に漬け込んだ。
 ドナルド・トランプ大統領は前任者より深いところまで行こうとしているように見える。そして、ロシアと戦略的にまったく新しい提携関係を結ぼうとしているようだ。
 トランプ氏は成功するのだろうか。それとも、プーチン氏に裏をかかれた3人目の米国大統領になるのだろうか。
 トランプ氏のロシア戦略はまだ曖昧であり、変化しうる。それはなぜかというと、一つには彼のインナーサークルにおいて意見が一致していないためだ。
 今週、フォックスニュースのインタビューに答え、トランプ氏はプーチン氏のことを殺人者と述べた。そして、こう言い返した。「世の中には数多くの殺人者がいる。米国がそれほど無垢だと考えているのか?」。
 おそらく歴史上、自分の国、つまり米国のことをロシアと同じくらい殺人を犯していると示唆する大統領は前例がないだろう。これは誤っているし、ロシアのプロパガンダを行う人々を喜ばせるだけだ。
 そして、トランプ氏が、プーチン氏が米国に多くの良いことを提供してくれると考えているとすれば、それはロシアの力と利益、米国が得るべき価値についての誤算である。
 トランプ氏のこれまでの発言の端々から見えてくる、対ロシア戦略のシナリオは次のようなものだ。まず、イスラム刻妥当で協力し、ロシアのイラン支援をやめさせる。欧州においては、ロシアはウクライナ戦争をやめ、核戦力削減交渉に参加する。長期的には対中国抑止策に共同してあたる。
 ステファン・バノンという、トランプ氏側近の中でもっとも注意すべきアドバイザーは昨年、5年か10年以内で必ず南シナ海で戦争する、と述べている。
 http://www.economist.com/news/leaders/21716609-it-terrible-idea-donald-trump-seeks-grand-bargain-vladimir-putin