英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

理由なき全面安

 今週の激しい株式の売りには、明確なカタリストは存在しなかった。市場の信任を回復させるには、明るいニュースが必要だ。
 なぜここまで売りが加速したのか。説明の一覧をあげると、長いリストになる。それは中国の停滞であり、世界経済の成長が芳しくないことであり、原油価格の低迷であり、マイナス金利になったことである。また、銀行の資本に対する恐れであり、不良債権であり、コントロールできないのではないかという恐怖でもある。
 あるアナリストが1月22日に書いたレポートのタイトルは「フリーフォール」だった。欧州の銀行が日本化する大きな理由は、低金利と経済見通しが悪いことだ。
 昨年末までは、まったく異なるストーリーが語られていた。米国のFedが利上げに入り、金融危機後、長らく続いた経済の停滞状態からようやく脱すると多くの人々が考えていた。
 投資銀行の世界でも、銀行に課される規制によって、利益をあげるおいしい世界を見つけるのが一層厳しくなった。銀行に投資する投資家にとっても、資本を厚く持たなければならない銀行のROEは魅力あるものではなくなった。
 危機後の規制体制は銀行にとってストレスのたまるものであるが、銀行は同時に経済の減速と損失にうまく対処しなければならない。銀行勢はいまや過去数十年間でもっとも高いレベルの資本を積んでいる。
 銀行はもはやリスクのより高い活動ができなくなった。いわゆる自己勘定トレーディングは制限されている。大きなポジションもとれない。
 逆風にも関わらず、アナリストたちは大災害を予想しているわけではない。欧州の大手銀行の収益は2015年と同等の水準が予想されている。それゆえ、株価が下がっているのは、事実ではなく、センチメントによるものだ。
 http://www.ft.com/intl/cms/s/0/b45cfaa6-d171-11e5-92a1-c5e23ef99c77.html#axzz401CkE6pA