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イエレン議会証言

 晴れ。今日は休日である。
 イエレン議長が議会で証言を行った。成長の見通しを引き下げ、利上げのペースに注意していくことを示唆した。具体的には中国経済の減速と市場の混乱を挙げた。
 Hilsenrath記者のレポートである。
 この日の証言は2日間にわたる証言の第一日目である。消費者物価の期待インフレ率は低下しつつあり、Fedがインフレ率を2パーセントに持ち上げることができるのかについて、投資家が信任を失いつつある兆候が出ている。
 米国における金融の状況はこのところ、経済成長にとってやや逆風になっている。株価が下落し、よりリスクの高い借り手に対するコストも上昇している。そして、ドル高も一層進行している。イエレン議長は議員たちを前にこう証言した。
 金利低下や原油価格の下落というプラスの効果もあるが、こうした状況が続けば、経済活動や労働市場の見通しに悪い影響を与えるという。
 記者いわく、こうしたイエレン議長のリスクに対する発言は、潜在的なFedの考え方の傾向を示しているという。
 昨年12月にFedが利上げに踏み切ったとき、声明文において経済のリスクはバランスしていると記述されていた。これは、Fed自身が経済はよりよくなる可能性のほうが高いと考えていたことを意味している。しかし、1月に入り、経済の見通しはあまりに混沌としている、リスクが依然としてバランスしているかどうか確かではない、という言い方に変化した。水曜日の議会証言では、経済見通しについての脅威の一覧がより長くなり、楽観論を上回った。
 イエレン議長自身が楽観的な見通しを変えつつあるのかどうか。そういう方向に傾きつつあると示唆したが、まだ考えを固め切れていないようだ。
 近年、議会とFedの関係はギクシャクしている。それは共和党民主党を問わずだ。双方からイエレン議長はチャレンジを受けており、金融政策だけでなく、金融監督やガバナンス上でも敵視されている。
 議会の証言台周辺には、労働者の大規模グループがスローガンを掲げて座っていた。「Fed Up」など。
 Fedがもっとも気にかけているのは現在、インフレの見通しだ。とくに市場や家計の期待がどうなるのか、気にかけている。もしインフレ期待が低下すれば、自己実現的なことが起きうる。イエレン議長も議会証言の中で、インフレ期待が十分アンカーされているかが非常に重要であると述べた。
 イエレン議長の発言のトーンは全体として悲観的というより、注意深いといったほうが正確だ。米国経済がリセッションに向かっているのではないかという懸念も一蹴した。そして、家計がガソリン価格の低下によって恩恵を得ており、雇用回復も追い風であると述べた。賃金上昇は家計にとって良い材料である。
 http://www.wsj.com/articles/yellen-flags-risks-to-economic-outlook-that-could-delay-rate-raises-1455111066